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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第26回 手塚先生の描いた古代遺跡 2010年6月8日

「手塚先生の描いた古代遺跡」

縄文の魅力は山ほどあれど。

縄文のどこが一番好きなのかと聞かれたら、それは

「探し求めていたものを見つけた喜び」に尽きるのかもしれません。

手塚治虫著の漫画『火の鳥』(太陽編)の中で、

古代人の祈りの場として列石が現れるシーンがあるのですが。

この漫画を読んだ後に縄文時代に造られたストーンサークルを見ると、

こわいくらいの既視感(デジャ・ヴー)に襲われるのです。

漫画の中、大陸から伝わった仏族の霊的な力が

日本に古くから棲む狗族(キツネ、天狗、鬼、河童などの霊界に棲む部族)を

滅ぼそうとすると、狗族を守りたかった主人公の犬上宿禰(イヌガミノスクネ)は

大海人皇子(オオアマノミコ)を頼り、仏教を保護する近江の旧政権を滅ぼし、

新政権を作ろうとします。

大海人皇子らが近江へ向かう途中、黒雲から雷を落とすことの

できる仏族の激しい攻撃に遭いますが、

途中で出くわした古代の列石の前で、仏族の攻撃は急に衰えるのです。

大海人皇子「なんだ? これは! だれがなんのために作ったのだ?」

兵士 「ごらん下さい。石の列は先がひとつに合わさっています。」

大海人皇子「これをなんとみる犬上? なにか地霊や守護神をまつる

場所なのではないか?」

犬上宿禰「実はこの近くに来て妙な感じを受けました。この辺りには霊界の気配が

ありません。ここはかなりの聖地のようです。この上の丸いものはおそらく

日輪をあらわしているのでしょう。これは太陽信仰のしるしです。(中略)

もちろん今から何百年も昔の人間の信仰です その時代ではただ一つの生命の

源として太陽を信仰していました。(中略)

こちらが西で太陽の沈む方向。そしてこちらが東南で太陽の昇る側。あの先端を

ごらん下さい! 東南へ向いています。これはあきらかに近くに太陽神の存在を

認めているのです。ですから聖地といえましょう。」

この時の体験から、大海人皇子は武運を太陽神に託し、日の神をあがめその

日の神の御子となることを決めます。

「そしてわが国を「日の本」と名付けよう! 日の本の国ぞっ」と叫ぶのです。

謎に満ちた情報が、

突然身に迫るように現実化する出来事が、縄文遺跡にはたくさんあります。

ああ、大湯のストーンサークルも東南を意識されている。

小牧野のストーンサークルもやはり、東南に長く伸びている。

大湯環状列石には日時計状組石があり、環状列石中心部からこの日時計中心部を

見た方向が夏至の日に太陽が沈む方向(北西)になっている。ということは、日

時計中心部から環状列石中心部を見た方向は、東南に当たるはずである。

小牧野遺跡のストーンサークルは、中心にある石から東南の位置に、

甕棺が出土している。

縄文は、「そんなはずない」と思って聞いていた

未知の世界が、現実に、「本当にあった」に変わる瞬間が好きなのです。

その場にミステリーが甦ってくる感覚。

漫画の中で出会った未知の世界が、長らく私の体内に宿り、

再び現実で出会うという不思議。

本当にそこにあるストーンサークルに会いに、今年もあの山の中へ

行ってみようと思うのです。

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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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