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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第28回 贅沢な時間 2010年8月18日

ここ数年のことだと思うのですが、「贅沢」という言葉の意味合いが変わってきている気がするのですよ。以前であれば、贅沢というのはその言葉通りに「必要以上にお金をかけること」であり、「ものごとが必要な限度を超えていること」だったのですが。

現代人は新たなる贅沢の概念を生み出したのですね。「贅沢な時間」という概念を。

何故なら、一生懸命働いているとお金は貯まるけど、それによって失われる時間というものも膨大なもので。生活自体は困っていないのに常に時間がないという状況に追い込まれている人は、そう少なくないと思うのです。そこで、やはり考え直すわけですよ。

「贅沢って一体、どういうことなんだっけ…?」と。

豊かな時間を過ごしたい、そんな概念すらもない1才の赤ちゃんは、

時間を一体、どのように使って過ごすのでしょうか?

ちょうどいい被験者(うちの息子)がいたので、子供を外に連れて

「子供は本当の自由を与えられると、どのように過ごすのか?」

を観察してみたところ。

子供は、驚くくらいに時間を無為に過ごすことがわかりました。

「ウッキャー!! あばばばば、あば!」

と。叫びながら下水に石を投げ込むこと、1時間……。

1時間、ずっと同じ場所にしゃがんで、石を拾っては下水に投げ込み、拍手をするという

行為を繰り返す、わが家の1才半の息子……あだ名はマペ次郎……。

「マペちゃん、もう1時間も下水に石投げてるよ! お母さんもう飽きたよ~!」

「ウッキャー!!」

試しに下水から少し離れたところにマペ次郎を移動させたところ、

今度は水たまりを見つけ、その水たまりを足でバシャバシャやり始めるマペ次郎……。

「え、永遠だね…、永遠にそれをやるんだね…。マペちゃん、楽しそうだね……」

お金は1円も貯まりませんが。

1才児はこの時、悠久の時を手に入れたのです。

永遠に、水たまりを足で踏んで水が飛ぶ感触を楽しむという時間を。

いつまでもいつまでも遊んでいたいと願い、それを叶えられた喜び。

こんな永遠の時間をいつか、三内丸山遺跡でプロデュースしたいなあと思った、

あそこのおかあさんでした。

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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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