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連載企画

縄文遊々学-岡田 康博-

第21回 イギリスJOMON紀行(1)「土偶と再会する」 2009年12月14日

日本では「縄文」は教科書にも出てくるほど、よく知られています。しかし、「JOMON」は海外では十分に浸透しているとは言えず、知名度もそれほど高くはないと思います。研究者や専門家でも一部のみが知っている程度かと思います。

世界遺産登録の場合、その価値は当然ですが、知名度の有無も登録実現を左右するとも言われています。岩手県の「平泉」が苦戦しているのも海外での知名度が低いことがその一因との指摘があるほどです。ですから、海外でより多くの方々に「JOMON」を知っていただく必要があると考えています。

11月17日、「JOMON」の知名度向上を目的として、ロンドンで縄文文化についての説明会を開催しました。丁度、大英博物館で文化庁主催の「土偶展」が開催されており、その機会を利用することとしました。この「土偶展」には、日本を代表する土偶が一堂に展示されており、まさにスター揃いの展示会になっています。本県からは、風張(1)遺跡出土の国宝「合掌土偶」、亀ケ岡遺跡出土の重要文化財「遮光器土偶」、そして三内丸山遺跡出土の重要文化財「大型板状土偶」などが展示されています。三内丸山遺跡からは、大型板状土偶のほか、土偶の破片も多数出品されており、ひとつの遺跡としては最も多い点数が展示されています。


大英博物館「土偶展」の様子
(入口から向こうは撮影禁止となっていた。)

説明会の前日、「土偶展」を見学する機会がありました。まず、目に付いたのは展示のタイトルです。これまでですと土偶は、“clay figurine”と英訳されるのが普通でしたが、今回は、「THE POWER OF DOGU」としていました。土偶は以外と知られているということなのかもしれません。現地のマスコミで報道されたこともあり、展示室は多くの見学者で賑わっていました。イギリス人はもちろん外国人も結構足を運んでおり、一日1,000人ほどの来場者があるそうです。土偶は「JOMON」をアピールする重要な役目を十分に果たしているわけです。会場入り口近くには大きく引き伸ばされた冬景色の岩木山の写真が貼られ、多様な土偶を生み出した縄文文化の風土をイメージさせるものとなっています。

見学者の感想や反応を関係者から聞いてみると、その造形的な美しさが注目されており、歴史や考古学関係者だけではなく、美術や美術史関係者も多く見学に来ているのだそうです。歴史資料というよりも美術資料として評価が高いということなのかもしれません。このことは土偶が本来もっている価値や魅力を否定するものではありません。日本でも美術品としての土偶の魅力を引き出した展示が、これまでも何度か行われています。

この「土偶展」の帰国展が、12月15日(火)から2月21日(日)まで、東京上野にある東京国立博物館本館で開かれます。これだけの土偶が一度に展示されることはほとんどありませんので、土偶に興味関心のある方はもちろん、そうでない方も是非とも見学してみることをお勧めします。

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プロフィール

岡田 康博

1957年弘前市生まれ
青森県教育庁文化財保護課長  
少年時代から、考古学者の叔父や歴史を教えていた教員の父親の影響を強く受け、考古学ファンとなる。

1981年弘前大学卒業後、青森県教育庁埋蔵文化財調査センターに入る。県内の遺跡調査の後、1992年から三内丸山遺跡の発掘調査責任者となり、 1995年1月新設された県教育庁文化課(現文化財保護課)三内丸山遺跡対策室に異動、特別史跡三内丸山遺跡の調査、研究、整備、活用を手がける。

2002年4月より、文化庁記念物課文化財調査官となり、2006年4月、県教育庁文化財保護課三内丸山遺跡対策室長(現三内丸山遺跡保存活用推進室)として県に復帰、2009年4月より現職。

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