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連載企画

だびょん縄文

第10回 遮光器土偶“しゃこちゃん”の故郷、つがる市町歩きツアー 2019年3月29日

今月9日、三内丸山遺跡の縄文時遊館で「もうすぐ世界遺産!世界遺産登録推進青森フォーラム」が開催された。
先だって行われた縄文遺跡群受入態勢研修会では、昨年世界遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連資産」のNPO法人 長崎巡礼センター事務局長入口仁志様の講演が行われた。世界遺産になるまで11年の年月を要したこと、世界遺産のガイドツアーのための組織作りからガイドの養成、何よりも世界遺産になったら観光客が倍以上になったことなど、縄文遺跡群でも起こるであろうことを話された。

その後のフォーラムでは、青森県立木造高校3年乗田翔也君による「史跡亀ケ岡石器時代遺跡の活用」についての事例発表があった。
JR東日本秋田支社企画「駅からハイキング」ツアーで遺跡ガイドとして町歩きを約5時間かけて案内しているという。高校生とコラボして、ケーキとサブレを作った地元のお菓子屋の紹介写真に興味をそそられ、つがる市へ行ってみたくなった。就職のため、まもなく故郷を離れる彼に無理して案内をしていただいた。待ち合わせ場所はあの遮光器土偶のオブジェがあるJR五能線木造駅。直線のメインストリートからでもはっきり見え、近づくにつれ、その大きさとリアルさにびっくりする。乗田君に会うと挨拶もそこそこにいきなりクイズが。「この駅の土偶の高さは15メートルより高いか」。ここで間違ったら三内丸山ガイドの名がすたる。いつも見上げている三内丸山遺跡の6本柱より高く感じられたので、「○」と答えた。一瞬がっかりしたような彼の表情に、大人げなかったと反省する。駅舎の土偶は1992年に作られ、本物の土偶の高さ35.4cm×50倍であることが初めてわかった。国登録有形文化財の旧高谷銀行本店(現・盛農薬商会倉庫)を見て街の駅「あるびょん」に案内される。店内には遮光器土偶のどら焼き、おせんべい、Tシャツ、トレーナーが販売されている。街を歩けば、移動販売車、マンホールの蓋、市役所の掲示版、街灯にもしゃこちゃんが。こんな土偶だらけの町を見たのは初めてで、次にどんなしゃこちゃんが登場してくるのかワクワクして歩いている。

木造駅でのクイズ

「縄文遺跡が世界遺産」ということでガイドを始めた彼は、他に何かできるのではと授業の商品開発の中でお菓子屋さんと提携して「しゃこちゃんサブレ」を開発した。昨年5月から半年かけて色々試行し、ようやく11月に販売することができた。お店の方は「売り上げは上々でお土産に買っていく人が多く助かります」、彼が就職してこの地を去ることについて「いだわしい!(もったいない)」と。真面目さと一生懸命さでつがる市木造では有名人だという彼もしゃこちゃん級の人気者かも。
東京国立博物館へお嫁に行ったしゃこちゃんを未だに愛し続けているつがる市の方々のあたたかさに、日本一有名な土偶は日本一幸せな土偶なのかもしれない。

しゃこちゃんサブレ しゃこちゃんカップケーキ

 

先輩の発案した、しゃこちゃんカップケーキとサブレのポスター

 

「駅からハイキング」ツアーでは遺跡までのバス移動中、20分で世界遺産候補17の遺跡を全部説明しているとの話にびっくり。亀ヶ岡遺跡ではペットボトルでしゃこちゃんの重さを体験し、興味をもってもらうようなガイドを心がけているという。後輩たちが今年も「駅からハイキング」ツアーでガイドを行う予定だというので、参加して応援したいと思う。
“地域の人に愛され感”をいっぱい感じて訪れた亀ヶ岡遺跡や田小屋野貝塚はきらりと輝いている遺跡に思われた。
最後に「まだ、本物の遮光器土偶を見たことがない」という彼に、いつか本物と出会うことを願う。

新聞に「JOMON パリで発信」という記事が掲載されていた(東奥日報3月22日夕刊)。
ユネスコ本部があるパリで縄文遺跡群をアピールし、遮光器土偶など4点のレプリカも参加。参加者からは「テクノロジーが発達していない中、この美しい土偶がどのようにつくられたのか本当に不思議」などと関心が集まったという。
ひたひたと世界遺産の足音が聞こえてきている。

つがる市役所の掲示板

 

マンホールにも 街灯にも

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