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連載企画

縄文遊々学-岡田 康博-

第25回 ヘリテージガイド研究会 2010年2月16日

昨年の春から研究会を毎月開催しています。研究会の名称は、ずばり『縄文ヘリテージガイド研究会』です。これは、今年12月の東北新幹線全線開業や縄文遺跡群の世界遺産登録を控え、現在、三内丸山遺跡で行われているガイドの現状を踏まえた上で、将来における遺跡ガイドのあり方を考えてみようということで、私が発起人となり、意見交換を行ってきました。研究会なので、特にメンバーを固定することなく、出たい人が出席し、自分の考えを話すという形をとっています。メンバーを固定すると、どうしてもある種の派閥を作っていると思われることもあり、目的は、より良いガイドを行うことですから、前向きな、建設的な意見が交わされればそれで良いと思っています。


大活躍のボランティアガイド

研究会ではまず、最近の世界遺産や発掘に関する情報提供、それらに関するニュースを解説するようにしています。どうしても遺跡の話は、専門的で難しくなりがちですので、できるだけわかりやすく解説するように努めています。その後、テーマを決めて意見交換を行います。心がけていることは、意見交換のテーマをはっきりと示すことです。現状の不満や課題の指摘だけではなく、今後どうすればよいのか、その方向性が何となく見えるような意見交換でなければならないと思っています。

この研究会を通じて改めて驚き、感心したのは、ガイドの人達の熱意と意欲です。より良いガイドをしたい、もっと多くの情報を遺跡を訪れる方々に伝えたいとの思いが、ひしひしと感じられました。現在、遺跡のガイドは、県教育委員会が作成した解説マニュアルに基づいて行われています。というよりも行われているはずですが、残念ながら遺跡でガイドの方のお話を聞いていますと、そのマニュアルから逸脱した、あるいは書かれていないことが堂々と話されていて、驚くことが多々あります。冬期間には研修が行われていますが、やはり歴史や考古学の専門的な知識や情報を持ちあわせていない以上、専門家のような解説を望めるわけではありません。


時には私も説明します。

したがって専門的な知識や情報があまりなくても解説できるマニュアルを作ったわけですが、今回、ガイドの方々からは、もっと専門的な情報が欲しいとの強い要望が出されました。あまり専門的な話になると荷が重いのではと勝手に思っていましたが、現場ではむしろそういった情報が大切だとの指摘がありました。データや解釈の根拠など、いろいろな情報を持ちたいとの思いが強いのです。もちろん、そのまま見学者にお話しするわけではありませんが、より多くの引き出しを持ちたいとのことです。そう、より良いガイドを行うためには、やはり資質の向上が欠かすことができないのだと思います。勉強したいというガイドの皆さんの意欲には本当に頭が下がります。自分もそうありたいとは思っていますが・・・

プロフィール

岡田 康博

1957年弘前市生まれ
青森県教育庁文化財保護課長  
少年時代から、考古学者の叔父や歴史を教えていた教員の父親の影響を強く受け、考古学ファンとなる。

1981年弘前大学卒業後、青森県教育庁埋蔵文化財調査センターに入る。県内の遺跡調査の後、1992年から三内丸山遺跡の発掘調査責任者となり、 1995年1月新設された県教育庁文化課(現文化財保護課)三内丸山遺跡対策室に異動、特別史跡三内丸山遺跡の調査、研究、整備、活用を手がける。

2002年4月より、文化庁記念物課文化財調査官となり、2006年4月、県教育庁文化財保護課三内丸山遺跡対策室長(現三内丸山遺跡保存活用推進室)として県に復帰、2009年4月より現職。

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