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連載企画

だびょん縄文

第14回 あの国宝土偶「縄文の女神」が三内丸山へ 2019年8月28日

世界遺産国内推薦候補決定のおかげか、今年の夏も三内丸山は熱かった。
8月に入るとたくさんの子どもたちがA4サイズの紙を持って、遺跡のあちこちを歩きまわっていた。「ドキドキ!遺跡探検隊」というクイズラリーだ。
簡単なクイズだと思っていたがどうしてこれがなかなか難しい。脳の柔軟性を失っている自分にとっては問題の意味すら分からず、何度、子どもたちに聞いたことか。企画した会社は各地でもこうしたクイズラリーをしていて、これを目的に三内丸山に来ましたという親子もいてびっくり。あまりの人気に正解者にあげる缶バッチ2500個が2週間位で無くなったと聞き、またびっくり。

夏季特別展「あおもり土偶展」に、8月17日から25日までの期間限定で山形県のあの国宝土偶「縄文の女神」(舟形町西ノ前(にしのまえ)遺跡)がいらっしゃいました。この時期、山形市にもこの土偶を見るために訪れるお客様がいるのによくぞ来てくださいましたねと感謝したい。そして今、三内丸山で国宝を見られる幸せを感じている。
正面は宇宙人?、裏側はお肌つやつや、張りのあるヒップライン、くびれたウエストと実になまめかしい。いったいこの土偶は何を語ろうとしたのか。でも正面をよく見ると、幾何学的形をしながら、全身から優しさが伝わってくる。まさに「女神」だ。
立たせるために足を太くさせたのか、裾を広げて身長以上に大きくみえる。その表現方法が素晴らしい。そして何より、「女神」の前に立つと胸を張り、背筋をピンと伸ばしたくなる。「これが国宝だぜ」と見せつけられた気がする。製作者は間違いなく縄文のミケランジェロだ。

企画展示室を出た廊下には、三内丸山遺跡から出土した土偶たちが展示されている。これもまた実に味がある。特別展がフレンチのフルコースだとすると、こちらは町の食堂の焼き魚定食のようでほっとする。土偶といってもほとんどがピースで展示してある。壊れたのか、壊されたのかわからないが、見つからなかった他のピースが気になる。まだ盛土の中で眠っているのかしら。
笑顔がある土偶は作り手がいつも笑顔だからこそ作れる物であって、その時代が平和だったからかもしれない。優しい女性たちが作ったのかな。この女性たちに会ってみたいなあ。土偶の足だけの展示ケースもあり、おもしろい。足の指は5本ついていたり、膝頭をしっかり表現したり、なかなか写実的だ。赤ちゃんのような小さな足もあり、可愛らしい。国宝や重要文化財の土偶は縄文人の精神性や技術の高さを見て取れるが、壊れた、たくさんの土偶たちこそがもしかして土偶の真実を語っているのかもしれない。

 

しっかり5本の指がある足

この土偶展に併せて色々なイベントが行われた。その一つに発掘体験もあった。
気温34度の真夏日、掘るからにはヒスイをと、目標を高く掲げて現場に向かう。発掘現場は今まさに調査している林の中、発掘関係者以外入れない場所へとロープをくぐって入る。もうこれだけでも考古学者になった気分でハイテンション。いきなり移植ベラと土を入れる箕(み)を渡され、簡単な注意点を話され、「はい、始めましょう」。どこを掘ったらよいかと迷っていると土から少し顔を出している土器を発見。周りを注意しながら掘り進めると、黒い小さな塊や赤い塊が目に入る。触ると崩れる。焼けた土と墨だと教えてもらった。見つかった土器片の近くだけ掘ると土器が欠けて、ぽろっと離れる。あわててくっつける。「後5分です」の声できゃーと悲鳴があがる。ここは盛土だなと思うと感動する。「土器をたくさん見つけることができました。さすが三内丸山遺跡ですね。」と感想を述べた方もいた。暑さも忘れてしまうほど、貴重なワクワク体験をした。

上手いねと褒められた神奈川県から参加の親子

 

発掘体験した場所に実はこんなにたくさんの土器が

もう「女神」は帰りましたが、まだ「しゃこちゃん」(つがる市亀ヶ岡遺跡・重要文化財)は9月1日までいます。今度いつ会えるだろうかと思うと、とても寂しく、切なくなります。あなたと過ごせた夏は最高に幸せでした。ありがとね。土偶たち。

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