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連載企画

縄文遊々学-岡田 康博-

第34回 さんまるミュージアムのみどころ -作る側の思い- 2010年8月2日

7月9日にオープンした縄文時遊館内の『さんまるミュージアム』は、初めての夏休みを迎え、大勢の見学者が訪れています。オープンから少し時間が経ち、落ち着いてじっくりと展示を見てみるとなかなか良くできているところもあれば、少し改善や工夫しなければならないところなど、いろいろと見えてきます。設計の段階では、見学者の視点に立ち細かいところまで検討したつもりですが、完成してみると思惑どおりにはならなかったこともあります。今回は「作る側」の思いやこだわりなど展示の裏側の一部を紹介し、見学の際の参考にしていただければと思います。


展示の様子

展示室全体を明るくしていることは前回にもお話しましたが、照明は、消費電力の少ないLEDライトを極力使用し、省エネに取り組んでいます。発熱量も減少しますので出土品にとっても優しい環境となっています。展示ケースも大型のものは使わず、小型のケースを多く使い展示品が近くで見られるようにしています。展示する高さも子供達や高齢者の方でも見やすくなるよう全体として低くしてあります。説明パネルを減らし、文章、写真、イラストなどによる情報提供を小型モニターを使用して行っています。この小型モニターは情報の更新が簡単にできますので、新しい情報を必要に応じて速やかに提供できる優れものです。これから各地の博物館で多く使用される機器だと思います。ただし、あまり大きくないので、見落とすことがないように注意していただければと思います。


少年とイヌ

入口を入ると正面には、少年とイヌのマネキンが置かれ、見学者を迎えてくれます。これ以外にもマネキンが数多く配置されています。縄文人の生活の場面を再現しており、そのマネキンの表情や仕草、動作を見ると何をしているのかわかるようになっています。このマネキン製作にもいろいろと苦労がありました。リアルさを追求するよりも親しみが感じられるように若干頭を大きくするなどフィギィア的に表現しました。これですと小さな子供達も怖がらずに見てもらえるものと思います。

イヌについては、動物考古学の専門の先生に見てもらいました。各地の縄文遺跡から出土したイヌの骨のデータを踏まえていますし、仕草や表情は現在のイヌを参考にしました。見学者からは「かわいい」との感想が寄せられています。この少年とイヌは三内丸山ムラでの生活を通して成長していきます。そして、展示の終わりには・・・ これは実際に『さんまるミュージアム』でご覧ください。イヌの表情もよくみていただければと思います。


狩りを練習する少年

より楽しく、わかりやすい展示を目指していますが、オープンしてからが大事だと思っています。日々、成長する展示でありたいと思っています。

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プロフィール

岡田 康博

1957年弘前市生まれ
青森県教育庁文化財保護課長  
少年時代から、考古学者の叔父や歴史を教えていた教員の父親の影響を強く受け、考古学ファンとなる。

1981年弘前大学卒業後、青森県教育庁埋蔵文化財調査センターに入る。県内の遺跡調査の後、1992年から三内丸山遺跡の発掘調査責任者となり、 1995年1月新設された県教育庁文化課(現文化財保護課)三内丸山遺跡対策室に異動、特別史跡三内丸山遺跡の調査、研究、整備、活用を手がける。

2002年4月より、文化庁記念物課文化財調査官となり、2006年4月、県教育庁文化財保護課三内丸山遺跡対策室長(現三内丸山遺跡保存活用推進室)として県に復帰、2009年4月より現職。

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