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連載企画

縄文の風を感じてみませんか?-土岐 司-

第28回 ダム湖に眠る 縄文の国 2009年11月13日

秋が深まり、里では秋だが山は初冬の風情があり一大絵巻物のようである。一度に多くの季節を見られる喜びがある。この西目屋村には巨大な津軽ダムの建設工事が進められている。かつて、湖底には集落があり村人の営みがあり、現在の美山湖ダムの建設で移転を余儀なくされた歴史がある。年数を経たダム湖底の土砂の堆積で貯水量不足から更に大きなダムが必要になったのです。

仮設道路からダム湖を見下ろすと、ブルーシートが敷かれプレハブが並び、遠目ながら人々の作業の姿を散見できる。砂子瀬縄文遺跡の発掘調査である。何故か踏み込み難い世界のようで、ただ眺めて空想を膨らませるだけであった。おりしも、当社スタッフが三内丸山応援隊の協力で同遺跡の案内を頂き彼らの縄文文化に対する情熱のシャワーを浴びた直後でもあり、湖底の遺跡の姿を自分の目で確かめなければ!と意を新たにして訪れることにした。すでに白神山地を訪れるお客様も絶え、山が静寂を取り戻しブナが葉を落として裸木になる時節です。ダム工事の取り付け道路から見渡す発掘現場は冬を前に後始末のさなかだが、秋晴れの空気を大きく吸い込んで安全帽を手に車を下りた。

湖水が空の蒼さをうけている。すでにシートで覆われた遺跡の傍らで最後の発掘に精をだす人たちに聞いて見ると「胸がわくわくする瞬間が楽しい」「お金は二番で、この感動がいいわ」「こんな山奥でどうして暮らしていたのでしょう」など縄文が好きでたまらない人たちの姿は、私の思いと重なるものがあり勇気づけられる。周りの秋景色にも勝るとも劣らない彼女らのきらきらした美しさに心が弾んだ。

保護のための砂袋をどけて隠されていた土器を見せて頂く、横長の穴は横に倒れていた土器を掘り出した跡だという。「もう少し早く来ればよかったのに」と私の訪問を待っていたかのような言葉が心に響いた。若い女性補助員の方が丁寧に土器が出た後の処置を解説してくれたのも嬉しいことでした。現地説明会だけではなく見学できる環境があれば、春には白神山地を訪れるお客様に紹介できるのに・・・と密かに思った時間でした。何より心に残された言葉は「縄文人は自然の一部だったンじゃないですか」。いい言葉を聞かせて頂いたのです。

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プロフィール

土岐 司

1942年青森県生まれ

高校理科教員を38年勤め、2004年有限会社ヒーリングエコツアーPROガイド エコ・遊を設立。 教員在職中、白神山地を題材とした授業の中で、白神の自然を後世に残すという想いに目覚める。

会社設立より現在に至るまでのシーズン中(5月中旬~11月中旬)に白神を留守にしたのは片手で数えるほど。

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