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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第4回 縄文のエネルギー 2008年11月12日

先日、作家の田口ランディさん一家と舞踏家の雪雄子(ゆきゆうこ)さんと一緒に、岩木山麓にある大森勝山遺跡を訪れました。

ランディさんが青森を訪れた今年の5月に、たった二人で「縄文友の会」を結成したのですが。始まりの会話というのは、こんなマヌケな雰囲気だったと思います。

遺跡に行く途中、浪岡町にある道の駅「アップル・ヒル」にて、「アップル友の会」という看板を見つけた私はランディさんに言いました。

「私、友の会っていう響きが大好きなんですよ。」するとランディさん。「それじゃあ、縄文友の会でも開くか!」

……縄文友の会!?

ランディさんにぽつりと呟くと、エライ形になって返事が返ってきます。以前にぽつりと「私、変な嫁なんです……」と言った時には、こんな返事が返ってきました。

「私も、変な嫁なのよう!一緒にコミュ(コミュニティ)作るか?変な嫁コミュ。」

へ、変な嫁コミュ……!?

……ランディさんが変な嫁であることは、重々承知しています。しかも世界中を飛び回る、変な嫁(しかも作家さん)なのです。

ランディさんは普通の人が、知る由もないような色々なことを知っており。ランディさんにお会いすると何故か、知識の壺にたっぷりと満たされた水に、ポチャンと頭を浸けるような。不思議な錯覚に陥るのです。

それなのに、私に会った時は何故か「変な嫁」の話に……。ランディさんの振れ幅の広さには、驚かされるばかりです。

私が縄文に興味を持ち始めた頃に、鋭く引き込まれたのは。角川書店から発行されている『本の旅人』(平成十八年二月号)での、梅原猛先生と田口ランディさんによる、アイヌと縄文についての対談でした。

そこでランディさんと梅原先生は、火焔式土器の渦巻き文様について、アイヌ語の「回るということ、渦を描くこと」を表す「モレイ」という言葉について、土器送りについて、アイヌの人が死者を葬る際、子供の遺体は壺に入れて、家の入り口に逆さにして埋めたことについて深く、語られていたのでした。

縄文時代にも子供の死体を埋葬するときは、土器に死体を胎児のように逆さにして入れ、家の入り口に埋められました。家の入り口は、出入りの多い場所です。子供の入った土器を土の上から「踏む」という行為には、呪的なものがあると梅原先生は語ります。

ランディさんは、「子供」と「踏む」という行為には、祖霊の甦りを願うような、もっと深い意味があるのではないかと推察します。

縄文文化は、得体の知れないエネルギーを抱えているのです。触れれば触れるほどに、その五千年の時代の深さと、神々を身近に感じたであろう自然の空気に。心を鷲掴みにされるような。莫大なエネルギーを抱えているのです。

今回訪れた大森勝山遺跡も、「何故この場所にストーンサークルを作ったのだろう?」と考え始めると、不思議でしょうがなくなります。

何故、この場所でなければダメだったのだろうかと。

縄文人が、川原から石を運んで作ったストーンサークルは。大概が山を掘削して平らかにするという、大がかりな土木工事の後に作られました。近くには、もっと平らで削りやすい場所もあるのに、敢えてこの場所を選んで作られたということは、この場所でなければいけなかった理由があるのです。

しかし、遺跡にたどり着いたら、何故か。

全ての理由が全身で理解できたような気持ちになってしまったのです。

大森勝山遺跡は、二つの川に囲まれ、その場所から見える岩木山はとても神々しく、あっけらかんとした気持ちの良い空気に包まれていました。そのせいで私は、何もわからないのに。何かを理解したような気持ちになっていたのでした。

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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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