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連載企画

ジョウモンのカ・タ・チ

第6回「石器のカタチ」その2 2011年12月26日

三内丸山遺跡の体験学習のなかでも、男の子を中心に人気があるのが石器作りです。参加者は、石のハンマーで割り取った素材から、鹿の角などで石の小さなカケラを落としながら、石鏃(せきぞく)などを作ります。
石器を作るということは、問題解決の連続です。薄くカタチを整えたいのにコブのような厚い部分ができてしまう。何とか工夫してそれを取り除く。すると鹿の角を持つ手に力が入りすぎて端の部分が折れてしまう。そこで、周りを細かく加工してまた整える、といったように手と頭をフルに使います。

石が割れた!(三内丸山遺跡)

人類の脳は石器作りによって発達したという説があります。最古の人類は、約700万年前に遡りますが、石器が発見される約250万年前から、脳容量が大きくなることがわかっています。完成した石器のカタチを頭の中でイメージしながら左手で石器を支え、右手のハンマーで敲くという動作が、脳の発達を促したとも言われているのです。
縄文時代の石器は、種類が豊富で、実用以外のデザインがカタチに取り入れられることがあります。木の実などを、すりつぶす時の台として使う石皿には、こつこつと石を敲いて、四つの足を作り出したものもあります。

四つの足の付いた石皿

裏返してみた石皿

 

 

 

 

 

 

 

 

また、動物などのカタチをしたものもあります。こうした石器が作られる意味については、いろいろな説があります。私自身は、その中のいくつかは石器作りの腕自慢の遊び心から生まれたのではないかと思っています。石鏃を作っていたのに、ふと思いついて、人のカタチを作ったというように。

そして、縄文時代には、石を磨く技術も発達し、磨製石斧は縄文の建物作りや木材加工を発展させました。磨製石斧の刃は一直線に磨かれて、横からみると衝撃に強いV字のカタチをしています。
三内丸山遺跡の体験学習では、一度、磨製石斧を作ったことがありました。実際に使われるものよりも柔らかい石材でしたが、実物とほぼ同じカタチに仕上がりました。
すると、子供たちから「すごくよく切れる!」という歓声があがりました。石斧体験の木材を用意していないのに、なぜだろう、と私は不思議に思いました。彼らは砥石で磨き出した刃を、紙に押し当てて横に引き、試し切りをしていたのでした。その紙は、私が夜なべして作った資料でした。カッターのような鋭い切れ味に心を奪われ、私は思わず石斧を手にとって、刃や横からのカタチを見つめたのでした。

(青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主幹 斎藤岳)

動物のカタチ

人のカタチ

横から見た磨製石斧

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プロフィール

ジョウモンのカ・タ・チ

執筆者一覧

・青森県教育委員会文化財保護課長 岡田康博
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主査 永嶋豊
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主幹 斎藤岳
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主事 岩田安之
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主事 斉藤慶吏

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