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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第42回 太師森遺跡 2011年12月28日

青森県平川市新屋遠手沢にある、
太師森遺跡を訪れてみました!

太師森遺跡には、未完のストーンサークルがあるのです。
組石状の石棺墓がありながら、
完全に円になっていないストーンサークルということで、
思い立った私は愛車のホンダライフに乗って
いざ、雪の太師森遺跡へ!

遺跡への車選びは重要です。
縄文遺跡は大概、山の中にありますから、
普段であればRV車に乗って遺跡へと
向かうはずだったのですが
今回は夫から借りるのが面倒くさくて
ついつい、前輪駆動の軽自動車で遺跡に向かったところ、
途中の山道でみごとに車が雪にはまってしまいました……。

「ここは、車は乗り捨てて歩いて行きましょう!」
即座に決意して、今度は雪の山道を歩いて
太師森遺跡に向かう私と縄文友の会隊長のNさん。

「Nさん、これってけっこう、歩きますね!?」
「いやあ、夏なら車で行ってすぐなんだけど、
こう雪が降っちゃねえ……」
「すみません。でも私、冬になるとストーンサークルに行きたくなるんです。」
「冬に行っても、何も見えないでしょうが。」
「いや、ストーンサークルは見るんじゃないんです。
感じるものなんです! ほら、ブルース・リーも言っていたでしょう?
Don’t think !! Feel……って。」

そんなわけで。
夏場なら車でドライブがてらにたどり着ける平川市の太師森遺跡も、
冬場は雪山を征する気持ちで往復1時間かけて登らなければ
たどり着けない場所と成り代わっていたのですが、
苦労した後に出会える遺跡は、格別なのです。

言うなれば、美味しい蕎麦屋さんで自動で出てくる蕎麦ではなく、
そば粉から自分で水を混ぜて、打ったり、切ったり、茹でたりの作業を
通して初めて出会う蕎麦。
遺跡に近づくにつれて、冬の太陽が厚い雲の間から
姿を見せたり、青空がサーッと流れるように現れ、
だんだんと私を縄文トリップ状態に導いていきます。

「ほら、ここの斜面は他よりもずっと急になっているでしょ?
これは、山の斜面を削って、土を捨てた所なんだよ。
だから人為的な急勾配になってるの。」
「Nさん、詳しいですね! あ、あともう少しで
ストーンサークルが……!」

見えませんでした。

「やっぱり、全然見えないですね~!」
「これだけ降ってりゃ、そりゃね。」

その後、雪の降り積もったストーンサークルの上で
感謝の踊りを捧げようとしたら、雪に足を取られて踊れなくなり、
最終的には、雪の上に仰向けにズダーンと寝そべってしまいました。

青空からは粉雪がちらちらと降り注いできます。
こうして雪の上に寝そべっていると、
小さかった頃、同じようにして雪の上で寝そべって見た、
青空を思い出します。

「あの時も、1人で寝そべっていたけど、今も、寝そべると私は、1人だ。
だけど、寂しくない。私を受け入れてくれる空と、太陽が
今もほら、私の上を動いていく……。」
雪のベッドは心地よく、寝そべっていると、
深いやすらぎが降りてきました。

「Nさん、踊りおわり! ありがとう!」
寒い中、ストーンサークルの中心に向かって行った友人が
中心で倒れて動かなくなっても、待っている友達がいるって
ありがたいことです。

後で調べてみたら、平川市は縄文天国。
犬も歩けば遺跡に当たるというほど、
あちこちの集落で土器や土偶が出土していました。

その土器の大きさや、造形は見ていて飽きることがありません。
発掘された土器は平川市文化センターの2階に展示されているのですが、
ここに来るとついつい、長居してしまうのでした。

平川市の縄文ファイナル

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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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