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連載企画

ジョウモンのカ・タ・チ

第7回 「小さなカタチ」 2012年1月30日

縄文時代にはミニチュア土器と呼ばれる10cmにも満たない小さな土器があります。おそらくモデルがあり、それらをまねてつくられたものと考えられます。

三内丸山遺跡出土のミニチュア土器

ミニチュア土器にはいろいろな形があります。バケツを上下に伸ばしたような円筒土器に似たものもあれば、土器にはない形もよくみられます。スプーンのようなすくい具や片口皿・鉢、4脚付きの皿、脚付きのコップのようなものなどは土器にはみられない形です。
このような形のミニチュア土器は何をモデルにしているのでしょうか。類例を探すと木器の形に似ていることが分かりました。木器は遺物として残りにくいのですが、北海道の忍路土場遺跡(おしょろどろばいせき)や福井県の鳥浜貝塚などからは、片口の浅鉢、スプーンのようなすくい具、4脚つきの皿が出土しています。

すくい具、片口、4脚皿のミニチュア土器

三内丸山遺跡でも台付きの皿や片口鉢、また、南西約2kmの近隣にある岩渡小谷(4)遺跡からは漆塗木製皿などの木器が出土しており、これらはミニチュア土器にみられる形によく似ています。4脚つきの皿は木器だけではなく、石器である石皿にも同じ形がみられます。このように三内丸山遺跡から出土しているミニチュア土器は、土器だけではなく木器や石器などもモデルにしていると推測されます。
三内丸山遺跡では2500点以上の多くのミニチュア土器が出土しており、そのほとんどが、縄文時代前期中頃~中期の終わり頃(約5500~4000年前)のものです。前期は土器をまねたものが中心ですが、中期になると木器や石器をまねたものが多くなり形が多様化してきます。時代によってミニチュア土器の使われ方が変化しているのかもしれません。
また、ミニチュア土器は主に祭祀と関連があると考えられる盛土から出土し、土偶や装身具と一緒に出土する傾向にあることから、何らかのまつりや儀式に使われた可能性があります。

ここで紹介した三内丸山遺跡出土のミニチュア土器は、縄文時遊館さんまるミュージアム内の企画展「ミニチュア土器コレクション」で2月26日(日)まで展示を行っています。入場無料ですのでぜひご覧ください。

(青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主事 岩田 安之)

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執筆者一覧

・青森県教育委員会文化財保護課長 岡田康博
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主査 永嶋豊
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主幹 斎藤岳
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主事 岩田安之
・青森県教育庁文化財保護課 文化財保護主事 斉藤慶吏

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