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第9回 史上初!? 縄文のラジオ番組「JOMON SPIRIT」の狙いとは 2012年2月13日

土偶がパーソナリティを務めるラジオ番組「JOMON SPIRIT(縄文スピリット)」。2011年6月から12月まで、インターFM日曜朝6:50から放送されていた。この番組をお聴きになった方はいるだろうか。番組の主題は縄文。遮光器土偶3037歳なるDJ DOGUという謎の生命体がナビゲートする10分間の番組だ。

「JOMON SPIRIT」は、番組と連動した同名のWEBサイトのコンテンツに絡めたクリエイターやアーティストが登場し、縄文への思いを語り合う。あいだにDJ DOGUの選曲による縄文ナンバーを挟んで、「縄文バンザイ」なる豆知識コーナーで締めくくられる、という縄文づくしの内容だ。

なぜいま縄文なの? と思われる方も多いかもしれない。

そして、DJ DOGUとは何者なのか? と思われるだろう。

第一回目の放送でDJ DOGUはこのように自己紹介をしている。

「土偶にもいろいろ種類がありまして、遮光器土偶という種類になるんですけど、歴史の教科書に載っていた宇宙人みたいなやつ、アレです。出身は青森県。自然と酒と音楽を愛する推定3037歳です。土の中から出てきただけあって、アンダーグラウンドな音楽、プロレスが大好きです」

実はわたしは、このDJ DOGUの正体を知っているが、ここで話すことはできない約束になっている。言えるのはアングラな音とプロレスが好きな37歳の……。

しかし、それよりも、だ。

そもそも皆さんは土偶を知っているだろうか。

縄文時代とは推定1万3000年前におこった文明だ。約2000年前に稲作農耕がはじまるまでの1万年余のあいだ、人々がどのような暮らしを営み、社会を築いていたかは今でも多くの謎に包まれている。それゆえに、一時期小学校の教科書からも記述が消えたことすらある。

だが、日本列島は掘ればいたるところから縄文時代の遺物が出土する。そんな出土物のなかで、より縄文人の精神性と密着したものが土偶である。

土偶は土をこねてつくられた素焼きの人形で、日本各地でさまざまな形体のものがある。

埼玉方面ではミミズクの形に似たミミズク土偶。

群馬周辺ではハート形土偶。これは芸術家、岡本太郎の太陽の塔のインスピレーションの素になったとも言われている。

八ヶ岳周辺では牧歌的でかわいらしい縄文のヴィーナスや仮面をつけた土偶が、北海道では立って虚空を見つめる人型の中空土偶が出土している。

青森では十字架状の板状土偶、ひざを抱えて手を合わせている姿の合掌土偶が。そして、DJ DOGUのモチーフになっている遮光器土偶。頭部についた大きな目のようなものがイヌイットが雪中での目の保護のために使う遮光器に似ていることからこの名前がつけられた土偶だ。

こういった各地から出土している土偶は、大半が女性を模してつくられたもので、豊穣や多産を祈るとき、あるいは厄を祓うような目的で、祭りの儀式の際に使われたものだとされている。また、多くが破損した状態で出土するため、割って使われたものだとも言われている。

そんな土偶が今の世に何を問いかけたいのか、ということが、この番組のポイントである。

後半のコーナー「縄文バンザイ」ではその辺が語られている。

8月14放送の「やっぱ自然っていいよね」では、最近、山でキャンプをすることにハマっているというDJ DOGUが「縄文人も山が大好きだった。それは気持ちよかったからだ」と話す。そして、縄文時代から続くブナの原生林のある白神山地を紹介している。

8月21 日放送の「土偶だってオシャレしたっていいじゃない! 年頃なんだもの」では、縄文人は衣服やアクセサリーにこだわっており、案外オシャレだったのではないかと説いている。

 

そのほか、7月17日放送の「オタク文化の原点は土偶にあり」では、オタクのフィギアカルチャーや仏像や石像などの大もとは土偶なのだと言う。日本人の細やかな仕事は縄文時代から脈々と続いているのだと。

このように、縄文時代と現代とをつなぎ、今の暮らしの中にひそむ縄文的なものや感性をあぶり出すのがDJ DOGUの狙いだ。

実際、今のわたしたちの暮らしの中には、縄文時代から続いているのではないかと思われる道具がいろいろひそんでいる。

たとえば、調理道具の土鍋などはまさに土器である。たき火で使うか、コンロで使うかの違いはあるが、火を使い土の鍋で煮炊きをするということは縄文時代も現代も変わりない。ほかにもすり鉢やナイフなど、素材は変われども使い方は今でも同じという道具がけっこうある。

もちろん、アクセサリーをつけるということは魔除けを意味し、土偶はまじないの道具だったなどと、縄文人は今の日本人よりかなりスピリチュアル度が高く呪術的な暮らしを営んでいたと言われているが、わたしたちの文化には確実に縄文の人々のDNAが流れていることも事実だ。そのことを認識すると、世界の見え方がぐっと深みを増してくるようで面白い。

縄文というルーツを見つめることは、わたしたちが現代を生きるためのヒントにもなる。

お金という価値観がなく、今のような便利さはない代わりに、縄文の人々は山や海から食料を得て、自然の恵みに感謝しながら暮らしていた。人間の暮らしは自然と切っても切れないつながりのなかにあり、生と死に対する強い思いが共同体のなかで育まれていた。そして、頻繁に祭りを行うことで、集団生活に生まれがちな上下関係をつくらず、争いごとを回避していたと言われている。

そのような縄文文化がわたしたちのルーツであることを思うと、何か価値観がゆさぶられる思いがする。

現代は物質的には豊かかもしれないが、心や精神はどうか?

物質的に豊かであれば人間は幸せだと考えるのは、現代のわたしたちの錯覚ではないか?

だからこそ、今よみがえらせたい縄文のスピリット。

そんな思いで続けてきたラジオ番組「JOMON SPIRIT」は、同名のWEBサイト「JOMON SPIRIT」で聴くことができる。いろんなゲストのインタビューも読むことができるので、ぜひチェックしてみてください。

縄文バンザイ!

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プロフィール

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フリー編集者・ライター
NPO法人jomonism会員

1972年北国生まれ。東京造形大学造形学部在学中よりインディーズ雑誌Scum発行。

映画のコピーライター、育児雑誌編集、サブカルチャー系書籍編集を経験したのち、フリーランスとして独立。オルタナティブな視線をモットーに縄文からサブカルチャー、オーガニックや子育てものなど興味の向くまま仕事中。

NPO法人jomonismでは「黒曜石でつくるアクセサリーワークショップ」などを展開。女性のための縄文をいろいろ企画中。

著書に『オーガニックライフ』『ラブ・キャンプ』(ともにマーブルトロン発行/中央公論新社発売)がある。

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