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連載企画

縄文遊々学-岡田 康博-

第9回 「あおもりの縄文、九州へ」 2009年1月14日

昨年、11月22日(土)~12月21日まで、福岡県太宰府市に所在する九州国立博物館で「あおもり縄文展」を開催しました。この展示会は三内丸山遺跡や亀ケ岡遺跡など、本県の縄文遺跡から出土した貴重な出土品を展示し、本県の縄文文化や縄文遺跡の価値や魅力や価値について広く紹介するものです。願わくは本県に足を運んで、実際に縄文遺跡に立っていただきたいとの思いもあります。これまで、平成18年度は大阪歴史博物館で、平成19年度には江戸東京博物館で行い、今回が3回目で最後となりました。

九州国立博物館は開館して4年目を迎える、日本文化の形成をアジア史的観点から捉えることを目的として作られた新しい博物館です。施設はもちろんですが、展示も随所に新しい方法が取り入れられています。それに太宰府天満宮の近くにあることもあり、大勢の入館者が入ることでも話題となっています。会場としてはこれ以上のところは九州地方ではありません。この企画にも快く協力していただきました。

九州は、大陸から最も早く稲作を受け入れた地域ですし、最近は劣勢ではあるものの、邪馬台国の有力な所在地とされているところです。また、隣の佐賀県には東の三内丸山、西の吉野ヶ里と、日本を代表する遺跡である特別史跡吉野ヶ里遺跡が所在します。その弥生の本場で、「あおもりの縄文」がどのように受け入れられるのか非常に興味がありました。前の二回は開催期間が一週間と短かったですが、今回は一ヶ月としました。展示点数も大型板状土偶や縄文ポシェットなどの重要文化財を含む約500点と多く、縄文の魅力を伝える逸品揃いです。これだけの内容は、地元でもなかなか見ることはできないといっていいでしょう。


熱心に見学している様子

会場の様子(土偶が出迎え)
さて、展示会が始まりました。私達も会場に立っては毎日解説会を開き、質問にも答えるようにしました。入館者をじっと観察していると何に興味関心を持っているか、よくわかります。意外なことに土器をじっくり見ている人が多く、その造形的な美しさに驚かれた方が結構いました。また、イノシシを表現した土製品や埋葬した犬、美しいヒスイ、縄文人の復原マネキンなどの前で足が止まっていました。

「遠く離れた九州で、縄文の本場の出土品を見ることができてうれしい。」、「次ぎを楽しみにしているよ。」と多くの方々からお褒めと感謝の言葉をいただきました。最終的には4万6千人を越える入館者がありました。何度も足を運んでくれた熱心な方もいました。「あおもりの縄文」に驚き、感動された方が多かったと思います。確実に九州へあおもりの縄文の風を吹き込んだと言えるでしょう。同時に県産の物産販売も行い、館内には甘いリンゴの香りも広がっていたことも報告しておきます。

プロフィール

岡田 康博

1957年弘前市生まれ
青森県教育庁文化財保護課長  
少年時代から、考古学者の叔父や歴史を教えていた教員の父親の影響を強く受け、考古学ファンとなる。

1981年弘前大学卒業後、青森県教育庁埋蔵文化財調査センターに入る。県内の遺跡調査の後、1992年から三内丸山遺跡の発掘調査責任者となり、 1995年1月新設された県教育庁文化課(現文化財保護課)三内丸山遺跡対策室に異動、特別史跡三内丸山遺跡の調査、研究、整備、活用を手がける。

2002年4月より、文化庁記念物課文化財調査官となり、2006年4月、県教育庁文化財保護課三内丸山遺跡対策室長(現三内丸山遺跡保存活用推進室)として県に復帰、2009年4月より現職。

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