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連載企画

縄文の風を感じてみませんか?-土岐 司-

第4回 瞬間の美しさに心うごかされて・・・ 2008年11月4日

夏の太陽が高くなり、時には暑苦しい風が渓谷の水に冷やされながら駆け抜ける瞬間、歩き疲れた体に活力を蘇えさせてくれる事がある。そんな時には佇んで周りを見渡すのが良い。人間が感じないような風が、林間の小さな木の葉を音もなく揺らしていることがある。五感を備えているはずの人間が感じ得ない多くがあることを痛感する。

虫に食われた木の葉には、微妙な葉脈がアートとなって残っていて、どんな虫の仕業かと推理してみたくなる。「こいつは、顎が弱いのか、歯が強いのか」と思いをめぐらすことも楽しい時間にできる。

太陽の光の芸術は、森に陰影を刻む。そこは明と暗が交錯する感動のミュージアムになる。「日本の伝統色」によれば、緑色は30余色にまで分類されている。森の住人たちは、それぞれにOnly Oneの色を持っていることになるでしょう。脱個性とも見られる人間社会が学ばなければならない何かを暗示しているかに感じられる。

太陽が傾きはじめる時間は、真昼とは違う強い陰影を描く刻になる。殊更に峡谷では誰をもアーティストに仕立て上げてしまう魅力が満ちあふれる。陰と陽が創り出す景観は、刻々とコントラストを強めながら闇の世界に移ろう光のドラマがある。

白神の夜は文字通り「漆黒の闇」の世界である。現代社会は、辺ぴな田舎でも何かしらの光がある。街灯、自動販売機、コンビニエンスストアなど人がいても居なくても光を投げかけている。私の子ども時代には、誰に言われるまでもなく、暗くなるから家に帰ったものだった。今どきは、暗くなる事が帰宅の要因にはなっていないようである。「闇」は人々の生活のいろいろな陰を落としていたことは紛れもないことだった。

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プロフィール

土岐 司

1942年青森県生まれ

高校理科教員を38年勤め、2004年有限会社ヒーリングエコツアーPROガイド エコ・遊を設立。 教員在職中、白神山地を題材とした授業の中で、白神の自然を後世に残すという想いに目覚める。

会社設立より現在に至るまでのシーズン中(5月中旬~11月中旬)に白神を留守にしたのは片手で数えるほど。

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