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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第50回 シャーマンがいっぱい 2012年11月6日

私が作家の田口ランディさんと2008年に結成した「縄文友の会」は、
縄文遺跡の自然と心地よい空気を愛し、それとなく伝える会です。

会の発足からわずか3ヶ月で
自然発生的に集まったメンバーにより、わが家の庭に
竪穴式住居が建設されて縄文友の会は少しだけ有名になったのですが、
ここから何故かとんとん拍子で縄文的な事業に遭遇していくのです。

2008年に竪穴式住居が完成した翌年、
2009年には三内丸山遺跡で「三内丸山縄文大祭」というイベントを行いました。
2010年には青森市の小牧野ストーンサークルにて
100人でお弁当を食べるイベントを開催。

そして2011年、この事業だけはいくら縄文が好きでも
執り行うのは難しいと思われた「ストーンサークルの建設」……。
ストーンサークルを造るのに必要な土地の問題、
石をどこから集めてくるのか、石をどうやって運搬するのか。

それら不安材料を抱えつつも、わずか2週間で川や山から
素手で拾ってきた石で、我々縄文友の会は
直径50メートル×45メートル、石の数7700個の巨大ストーンサークルを
会の発足から、たったの4年で造り上げてしまったのでした。

これは、建設に携わった美術作家の杉原信幸さんと山形淑華さん、
建設に同意してくれた青森県の外ヶ浜町の協力なしには
成し遂げられないことでした。

しかし、会の発足から竪穴式住居が建つまでや
ストーンサークルが出来るまでの時間が早すぎるような気がします。
もしかすると、縄文友の会にはシャーマンがいるのではなかろうか? という
疑念が生まれてきますよね。
シャーマンといえば……心当たりのある人は4人ほどいるのです。
直感力が冴えていて、巫女的なものごとを言い、執り行う人がなんと
うちの会には4人もいるのです。

シャーマンは大まじめに「それが本当に必要なのですか?」と
私のような一般人が驚き、承諾し得ないことを平気に言い放ちます。

三内丸山縄文大祭の時には、
「火の神様を下ろしにアイヌモシリの一万年祭に行かなきゃ!」
と言われ、北海道の山奥まで謎の火の神様を下ろしに出かけ、
それは本当に必要だったのかどうか、未だにわからずじまいなのです。

2012年のイベントは、男のシャーマンである美術作家の杉原信幸氏に
アートディレクターをお任せしたところ、
予算の見積もり書に当たり前のように「土偶・仮面制作費」
というものが盛り込まれていておったまげてしまいました。

「杉原さん……それは、雑費でいいんじゃないの? 雑費で!」
「いや、縄文にとって土偶や仮面は一番大事でしょう!」
「大事なのはわかるけど、雑費でいいよ! 雑費で!」

シャーマンである杉原さんは、当日の「小牧野劇場」で着る
衣装に漆で絵を描くために、わざわざ小牧野遺跡で朝早くから
夕方遅くまで漆で絵を描き続け、それをわが家の小屋で乾かしながら
「あ、スイッチさん、触るとかぶれるから絶対触らないで下さい!」
なんていうことを言うのです。
何故に肌に触れる服の絵を漆で描いちゃうんだろうか、この人は……。

そしてイベント前の忙しい時に、
「小牧野遺跡の出土品が青森市の森林博物館で展示されているそうですから、
僕、観に行ってきます! 観ないわけにはいきません!」
と出かけてしまい、一緒に行った相方の山形淑華さんが何故か
夜の九時を過ぎても家に帰らず、後から聞いたら弘前駅から歩いて平川市に帰る途中、
間違って平川市猿賀の猿賀神社まで歩いて行ってしまったそうなのです。

イラスト

結果、シャーマンのやることは……わけがわからないということが
よおくわかったのでした。

杉原さんは森林博物館から帰ると、
小牧野遺跡から出土した三角形に加工された岩盤が
とても気になったらしく、眉間に皺を寄せて「三角……三角……」と
つぶやいていたのですが。

これだけたくさんのシャーマンを抱えていたおかげなのか、
2012年開催のイベント「小牧野劇場」は、
土砂降りの雨だった天候もイベント開始とともにカラッと晴れて。
無事に小牧野遺跡に踊りと太鼓の祈りを捧げることができたのでした。

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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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