ホーム > 連載企画 > 第53回 土偶コスモス展スケッチ所感 ―顔のない表情―

このページの本文

連載企画

縄文探検につれてって!-安芸 早穂子-

第53回 土偶コスモス展スケッチ所感 ―顔のない表情― 2012年12月12日

親子土偶オブジェ

スケッチ

悦びとも哀しみともとれる表情
弱々しく微笑むようであり、
雄々しく叫んでいるようでもあり、
充足して満悦げに見えるかと思えば、
悲嘆の吐息を漏らしているようにも見える

何かを求めて止まないようであり 
何もかも投げ出して虚ろなようでもあり

母のようであり、父のようでもあり
人のようであり、精霊のようでもある
瞑想しているようでもあり、取乱しているようでもあり
老人であって、赤子

あらゆる人の生い立ち、運命を背に負って
どっしりと立っていたり、よろよろと立てなかったりする
そもそも顔が無かったり、手や足がもがれていたりもする

それらが据えられるこの世界が
整然としたコスモスであり また混沌のカオスでもあるように
土偶が孕んでいるものもコスモスでありカオスであるらしい

覆いかぶさる世界に巻き起こる必然や不条理や
それらが人に巻き起こす壮絶に様々な心の風景を引き受けて
古代の人の手指から生まれた小さく、普遍的な、
どこにでもいて どこにもいない
なにものかが
クリスタルのケースでライトに照らし出されながら
今日も立ちつくしている

安芸 早穂子 HomepageGallery 精霊の縄文トリップ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

プロフィール

安芸 早穂子

大阪府在住 画家、イラストレーター

歴史上(特に縄文時代)の人々の暮らしぶりや祭り、風景などを研究者のイメージにそって絵にする仕事を手がける。また遺跡や博物館で、親子で楽しく体験してもらうためのワークショップや展覧会を開催。こども工作絵画クラブ主宰。
縄文まほろば博展示画、浅間縄文ミュージアム壁画、大阪府立弥生博物館展示画等。

週刊朝日百科日本の歴史「縄文人の家族生活」他、同世界の歴史シリーズ、歴博/毎日新聞社「銅鐸の美」、三省堂考古学事典など。自費出版に「森のスーレイ」、「海の星座」
京都市立芸術大学日本画科卒業
ホームページ 精霊の縄文トリップ www.tkazu.com/saho/

バックナンバー

本文ここまで