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あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第55回 縄文土器が語るもの 2013年3月18日

縄文土器を見ていると、
見れば見るほどに気持ちがとうとうとしてきて、
これがすごいものであることはわかるのに、
何故すごいのかとか、これが何であるのかという
答えに、気持ちがたどり着けなくなる。

私にとって縄文土器は、
ただただすごいのである。
それは理由なく音楽を聴くようなものである。
流れるような文様と、土器口縁部に隆起する造形は、
エネルギーの躍動ようなものを感じる。

これを、今月(2013年3月)に亡くなった
青森県の民俗学者・田中忠三郎先生はどのように見ていたのだろうか。

青森県の民俗文化財の保護に人生を捧げ、
今から50年も昔の若い頃に、縄文土器を素手で10年も掘り続け、
収集し、復元していた青森県の民俗学者、田中忠三郎先生が
土器からどんな思いを受け取っていたのかを
今日は紹介したいと思う。

田中忠三郎先生は、今に遺された縄文土器に付けられた
「模様」から、縄文人の心を探ってみたいと思っていた。
その言葉を幾つか紹介したい。

「縄が回転する。縄の流れ、縄の造形が見事に開花し、隆盛を極めている。」
(季刊 稽古館 vol.19 特集 縄目にこだわり続ける縄文文化 13Pより)

「何故か口縁部に装飾が多く、上部に模様が集中する。下部は、煮沸するときに
火を浴びるからであろうか。そして、模様に丸、穴が多い。
穴に縄文時代の人々が、神秘さを見出したのであろう。
穴は奥深く、未知なる世界である。」

「土器口縁部、一辺につく隆起した部分は、何かが躍動するものを表現している。
津軽に「血が騒ぐ」という言葉がある。ネブタの季節になると特にそうである。

人間の青春もそうである。男と女の燃えるような心と体。
燃えて躍動する ものがあって、自然界は、種を残してきた。
風の流れ。水の流れ。
激しさと静けさ。だからこそ人々は、安らぎと優しさがあった。
赤く燃える炎。縄文時代の人々はそのエネルギーを求めた。
(季刊 稽古館 vol.19 特集 縄目にこだわり続ける縄文文化 30~31Pより)

土器を見つめるうちに、その土器が語る物語を
田中先生は聞いていたのかもしれない。
燃える炎、津軽弁の血が騒ぐという意味の、「じゃわめき。」
そして、長年土器を発掘し、復元に時間をかけて来た田中先生も
土器を見つめるうちにこのように語るのだ。

「縄文土器の文様は、縄文時代の人々の心の表現であり、メッセージであろうが、
今の私達には分からない。分かろうとすればする程、複雑である。」
(季刊 稽古館 vol.19 特集 縄目にこだわり続ける縄文文化 49Pより)
と……。これは、私が土器を見つめれば見つめるほど、
気持ちがとうとうとしてくるのと一緒なのかもしれない。

それなのに土器は雄弁に私達に語りかけてくる。
大地のエネルギーを、炎のエネルギーを。風の流れや水の流れ、
言語化できない、エネルギーそのもののことを。

だから縄文の人は文字を残さず、
私達に文様を残していったのかもしれない。

田中先生、
ありがとうございました。
イラスト

コメント

  •  縄文土器に対するあなた様の想い良くわかりました、田中先生、梅原先生のお話なかなか面白かったです、が・・・・、チョトダケ反論します、縄文土器の文様というのは一般的には貴方様のおっしゃている様なことが定説のようですね、しかしよくよく考えてみればそんなもんじゃありません、土器の文様より大事なことがあるのです。土器の文様はいくら考えても解らないでしょう、なぜなら土器を作った本人も親の作った土器の文様をそっくりにまねて作っただけで、文様の意味など考えて作ったものではありません。まねて、まねて、まねて、それで1千年、2千年と同じ文様が継いてきたのであって、文様に深い意味などありません、時々変った人が現れてチョトだけ形を変えたり、チョトだけ文様を変えたりしながら何千年も同じような文様が継いて来たのであり、文様そのもののは深い意味はありません。文様より大変に大事なことがあります、それは土器の材質の事です、土器を作る時に粘土の中に何を入れたのか?、キラキラ光る雲母は何の為に入れたのか?、あなた様もどうかその事をお考えください。私はその意味を解っております。 

    2015年2月28日 9:16 PM | 酒井洋輔

第55回 縄文土器が語るもの への1件のコメント

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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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