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連載企画

世界の"世界遺産"から

第22回 ううっ、寒い! そうだ、京都、行こう!! 2011年1月27日

2011年が明けて早々、第1弾の遠征は姫路行だった。日本の世界遺産のひとつ、姫路城はこれまで訪れたことがなく、経験値が増えると喜び勇んで出かけたのだが、な、なんと、平成の大修理中。天守閣のてっぺんまで、巨大な「素屋根」とやらにすっぽりと覆われているではないか。

その美しい姿を拝むことができず、ちょいと切ない幕開けとなった。とはいえ、本来の目的だった、「姫路コロコロ焼きそば(すじ肉&こんにゃくの煮込み入り)」はたいそうおいしく、満腹満足ではございましたがね。その1週間後には、法隆寺の五重塔をごく間近に望む某所へ。

なにやら関西の世界遺産づいているが、どちらの出張も急ぎの日帰りで、実は肝心な場所に立ち寄れていない。冷え込みが厳しくなればなるほど恋しさ募る、冬の京都である。

京都の冬は、極めて寒い。それは雪の多い青森とも、乾燥した風吹く東京ともまったく異なる感覚で、足許から骨の髄までしんしんしんしん、冷たさがしみてくる。

しかし、ここでお立ち会い。だからこそ冬ならではのご馳走、熱々のかぶら蒸しの旨さが、五臓六腑にじんじんじんじん響くのですよ。過去における幾度かの感動は忘れがたく、北風が吹くと心が古都とかぶらを思って逸る。ミシュランに掲載されている人気店とて、この時期はさほど混雑せず。

実際、予約が取りにくいはずの某店でカウンターを独占し、ご主人とゆっくり話せる幸運に恵まれたこともある。旅心は、食い気ばかりにそそられるのではない。

正直なところ、夏の京都は暑さも湿気も熱帯レベル。3歩たりとも、まともには歩けない。春は桜、秋は紅葉、その合間は修学旅行と、どこへ行っても人、人、人。

京都をゆっくりと満喫するなら、冬が一番なのだ。清水寺や金閣寺をはじめとする世界遺産の数々も静寂に包まれ、いつも以上に趣を増す。

ただし……とある冬の日、珍しくお洒落をする必要があって薄いストッキングで某寺に伺い、したり顔でご挨拶した直後、廊下の冷たさに思わず爪先立ちになり、マヌケな「白鳥の湖」状態で歩いてしまったわたくしのような失敗には、くれぐれもご注意いただきたい。

冬といえば、以前にも記したように、雪に埋もれた三内丸山遺跡もわたくしの大のお気に入り。静寂云々という話とは矛盾するかもしれないが、県内外のより多く皆さまに、その魅力を知っていただきたいと心から思う。

その後、五臓六腑にしみる幸せをもたらすのは、じゃっぱ汁か、けの汁か。

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プロフィール

山内 史子

ライター、紀行家。1966年生まれ、青森市出身。

日本大学芸術学部を卒業。

英国ペンギン・ブックス社でピーターラビット、くまのプーさんほかプロモーションを担当した後、フリーランスに。

旅、酒、食、漫画、着物などの分野で活動しつつ、美味、美酒を求めて国内外を歩く。これまでに40か国へと旅し、日本を含めて28カ国約80件の世界遺産を訪問。著書に「英国貴族の館に泊まる」(小学館)、「ハリー・ポッターへの旅」「赤毛のアンの島へ」(ともに白泉社)、「ニッポン『酒』の旅」(洋泉社)など。2016年6月に「英国ファンタジーをめぐるロンドン散歩」(小学館)を上梓。

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