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連載企画

世界の"世界遺産"から

第11回 美食に誘われて出会った、リヨンの世界遺産。 2010年1月22日

リヨンは、パリに次ぐフランス第2の都市。中世の頃からヨーロッパ有数の商業都市として知られ、当時のままに残る旧市街・歴史地区は、最も美しいルネッサンス建築群のひとつとして、世界遺産に登録されている。

リヨン旧市街。
写真:松隈直樹

ローマ時代の遺跡も残る丘を中心に広がる石畳の道を歩けば、その頃の最先端だったイタリア流の趣がそこかしこで見られ、興味深い。丘に登れば、川に面して広がる、美しい街並みが……などという心穏やかなひとときを邪魔するのは、そっと鼻孔をくすぐる、いい匂いである。

リヨンは世界に名だたる超大御所の三ツ星シェフ、ポール・ボキューズをはじめとする、数多のミシュランスターを生み出した美食の街なのだ。グルメ垂涎。旧市街を含め、そこかしこでレストランの群れと遭遇し、狭い路地はテーブルに占領された感がある。また、かのロマネ・コンティを有する、ワインの聖地ブルゴーニュとも近く、数多くの観光客が集まっているものの、皆、その目的は、花より団子だといっても過言ではない。

実際、わたくしも仕事とはいえ、食べまくり飲みまくり。ゆるゆるだったはずのスカートが、1週間の滞在でボタン飛ぶ、という悲劇にみまわれた。特に魅せられたのは、ブルゴーニュの名産品、エスカルゴ。リヨンをはじめあちこちで注文してみたが、日本やパリでの体験と明かに異なる。たいそうフレッシュで、トレ・ボン!!!

ポール・ボキューズのビストロにて。
写真:松隈直樹

などと食の話になるとつい興奮してしまうが、リヨンを訪れたおかげで、中世の勢力図を、イタリアとはまた別の視点で垣間見られたのは面白かった。世界遺産エリアのなかにある聖堂の美しさも、極めてインパクトある記憶として心に刻まれている。要は、入口はどこにあってもいいのだと思う。そういう意味で、1月23日、24日に行われ、「縄文×jomonismART展」「青森ご当地グルメ屋台村」など多様な展開を図る「とことん青森2010 in 原宿表参道」は、青森の総合力をより多くの方に伝えるいい機会となるだろう。

このエッセイをはじめこれまでも再三、お話していることだが、海にも山にも恵まれた青森の食材のレベルは、全国的に見ても極めて高い。かたつむりは鮮度が命、と学んだわたくしは、りんごもまた、東京よりも青森で食べた方が抜群においしいことを、もっと知らしめたいと思っている。そういう食い気からだって、縄文への関心を抱く道は切り開けると思うのだ。


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プロフィール

山内 史子

ライター、紀行家。1966年生まれ、青森市出身。

日本大学芸術学部を卒業。

英国ペンギン・ブックス社でピーターラビット、くまのプーさんほかプロモーションを担当した後、フリーランスに。

旅、酒、食、漫画、着物などの分野で活動しつつ、美味、美酒を求めて国内外を歩く。これまでに40か国へと旅し、日本を含めて28カ国約80件の世界遺産を訪問。著書に「英国貴族の館に泊まる」(小学館)、「ハリー・ポッターへの旅」「赤毛のアンの島へ」(ともに白泉社)、「ニッポン『酒』の旅」(洋泉社)など。2016年6月に「英国ファンタジーをめぐるロンドン散歩」(小学館)を上梓。

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