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連載企画

世界の"世界遺産"から

第69回 トルコ・イスタンブールにて衝撃の大発見?! 2015年5月21日

わたくしの呑み仲間に、竪穴式スタイルの家を建ててしまったほどの縄文好きがおり、酒が入るとうっとりした表情で縄文愛を語る。
「人が暮らしたいと考える居心地のいい場所は、今も昔も変わらない。遺跡に行くと、いつもそう思うんだよね。歩きながら気持ちのいい風や陽差しを浴びていると、縄文人と心がつながるような気がして嬉しくなるんだ」

全国各地の縄文遺跡を訪れるたび、この場所は選ばれるべくして選ばれた、という実感がわくそうだ。以前にも書いたが、歴史や物語の舞台を旅するわたくしもまた、時空をこえて心が飛ぶひとときをこよなく愛している。この春、トルコのイスタンブールでも、妄想的快感を得る機会に恵まれた。アジアとヨーロッパの境目、ボスボラス海峡と世界遺産登録の歴史地区に面した金角湾を前にしてのことである。

海峡も湾も対岸が間近に見えるほど狭いのに、数多の船が行き交っている様子にとにかく圧倒された。車や電車で渡れる今なお、船は人々の日常の足であり、さらには観光船が賑わいを増幅。衝突事故が起きるのではと心配になるくらいのその景色はおそらく、世界各国の貿易船が行き来した1000年前も同じだったはず……そう思った瞬間、「交易の拠点」と教科書に記されたいた言葉がリアルに輝きはじめ、歴史をいっきに遡ったかのような感動にひたった。ここはまさしく、選ばれし場所。
「過去に生まれ変わってこの地を制覇できたなら、イヤというほど富が集まるだろうな」

東ローマ帝国やオスマン朝を思う妄想は大きくも、たいそうケチなことを考えながら求めたのは、金角湾に浮かぶボートで売られている名物のサバサンド300円也。果たして、程よく脂がのったサバを塩で味付けしてパンにはさみ、レモンの搾り汁をかけただけのシンプル一品は、思った以上に旨いっ。欧米のしっかりと日本のふんわりのいいとこ取り、といった感のあるパンがまた、クセになる食感。トルコに来て良かった~と幸せを噛みしめていたところ、驚くべき事実が判明した。
「えっ、トルコの首都って、イスタンブールじゃないの?」

皆さまはおそらく、答をご存知でしょう(悔しいので、ここには書きません!)。生まれて49年、日本の首都は東京だと思っていたが、もしかしたら間違っているかもと不安に陥ったほど、自分に自信がなくなった。そんなボケナスが見たイスタンブールの世界遺産に関しては、次回にあらためて。どうぞくれぐれも、お見限りのありませんように。

金角湾とイスタンブールの歴史地区に建つスルタンアフメット・ジャーミー。 写真:松隈直樹

金角湾とイスタンブールの歴史地区に建つスルタンアフメット・ジャーミー。
写真:松隈直樹

旨しサバサンド。テーブルにはレモン汁と塩が置かれている。 写真:松隈直樹

旨しサバサンド。テーブルにはレモン汁と塩が置かれている。
写真:松隈直樹

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プロフィール

山内 史子

紀行作家。1966年生まれ、青森市出身。

日本大学芸術学部を卒業。

英国ペンギン・ブックス社でピーターラビット、くまのプーさんほかプロモーションを担当した後、フリーランスに。

旅、酒、食、漫画、着物などの分野で活動しつつ、美味、美酒を求めて国内外を歩く。これまでに40か国へと旅し、日本を含めて28カ国約80件の世界遺産を訪問。著書に「英国貴族の館に泊まる」「英国ファンタジーをめぐるロンドン散歩」(ともに小学館)、「ハリー・ポッターへの旅」「赤毛のアンの島へ」(ともに白泉社)、「ニッポン『酒』の旅」(洋泉社)など。

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