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連載企画

縄文のワケ -菊池 正浩-

第17回 冬・聖なる季節のワケ 2010年1月6日

今ごろ、三内丸山遺跡は、すっぽり雪に覆われていることでしょう。

この季節になると、今は亡き民俗学者の大林太良先生が、シンポジウムで言われたことばを思い出します。

「狩猟採集民にとって、

夏は、俗なる季節、

冬は、聖なる季節です。」

別に、夏をおとしめてるわけではありません。

夏は、生業の季節であり、漁労とかさまざまな共同作業に精一杯取り組む時期です。

そして、冬。

この季節には、夏の、生業のために長老が支配する共同体の組織とは、まったく違う組織と精神世界が展開します。

若衆宿みたいなものといったらいいでしょうか。

若者が、一人前になるための通過儀礼が、若者たちのペースで進められます。

ときには、荒々しく、ときには、内省的で神秘的な時間が流れます。

その意味で、冬は、夏の生業の季節とは異なり、すべてのものをまっさらにして、

自己再生する季節でもありました。

現代の私たちは、夏も冬も変らず、一年中、共同体の組織にがんじがらめになっています。

せめて、白銀の三内丸山遺跡を思いつつ、狩猟採集民の「冬・聖なる季節」に思いをはせてみたいものです。

来るべき年も、引き続き、縄文から、元気をもらっていきたいと思います。

新年も、どうぞよろしくお願いします。

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プロフィール

菊池 正浩

番組プロデューサー。

NPO法人・三内丸山縄文発信の会会員。 1946年生まれ。青森県弘前市出身。早稲田大学卒業。NHK入局後、美術・歴史番組を担当。 1994年NHK青森放送局で大集落発見直後の三内丸山遺跡を紹介。

その後、東京で NHKスペシャル「街道をゆく」「四大文明」 「日本人はるかな旅」「文明の道」などを担当。

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