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連載企画

世界の"世界遺産"から

第82回 大地に埋もれたままのイギリスの環状遺跡 2016年7月25日

大方の予想を覆し、イギリスのEU離脱が決定となった。実は昨年、彼の地の世界遺産関連で発見があったのだが、歴史的な転換期を迎えるなか、関係者以外は記憶が薄れてしまったかもしれない。

ストーンヘンジの近くに、より巨大な環状遺跡が地中に埋もれているというビッグニュースである。

このコラムの第5回でもご紹介したストーンヘンジの直径は約100m。対して地中に潜んでいた遺跡は、100個もの石が直径500mの円を形成しているという。規模があまりにも大きすぎるせいか、発掘計画は立っておらず。今年3月に訪れた際には、まったくの手つかず。一帯では羊がのんびり草を食んでいた。おそらく今も、そののどかな景色は変わっていないだろう。

高さ約5m、最大で重さ35tほどの巨石が円を描くストーンヘンジの完成は、紀元前2500年~前2000年ごろとされる。夏至や冬至の太陽の位置をふまえた設計なのが判明したものの、その建築目的をはじめ、まだまだ多くのナゾを秘めている。もともと大好きな遺跡のひとつなのだが、今回、2日間にわたってまわりをぐるぐるまわる至福を得た際、ダウジングにまつわる話を聞いて胸がばくばくしてしまった。

ダウジングとは、L字型の針金を両手に持ちながら歩き、地中の水脈や鉱脈を探す術。同行のガイドが語ってくれたのは、周囲にロープが張り巡らされた現在とは異なり、石に近づけた頃のエピソードだ。「針金がね、面白いくらいに動いていたんだよ」

環状遺跡の石からパワーを感じた、という体験談は少なくない。だとすれば、ストーンヘンジの石そのものも、なんらかのエネルギーを発しているのか。それとも、力を放つなにかがこの大地の下にあるのか。磁場のつながり「レイライン」(中国の龍脈のようなもの)を唱える人たちが、この遺跡がそのラインに沿って建つと分析していた記憶もよみがえり、妄想が広がりまくりとなった。

もしかしたらあらたな環状遺跡は、歴史上のミッシングリンク的存在ではないかとも思われるのだが……。現状、イギリスにとっては、過去よりも未来の方が大問題なのは否めない。ナゾ解きはまだまだ先のことになりそうで、やきもきしている今日この頃である。

外周の石は、約30㎞離れた場所から運ばれた。 写真:松隈直樹

外周の石は、約30㎞離れた場所から運ばれた。
写真:松隈直樹

緻密な設計が見て取れる復元模型。 写真:松隈直樹

緻密な設計が見て取れる復元模型。
写真:松隈直樹

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プロフィール

山内 史子

ライター、紀行家。1966年生まれ、青森市出身。

日本大学芸術学部を卒業。

英国ペンギン・ブックス社でピーターラビット、くまのプーさんほかプロモーションを担当した後、フリーランスに。

旅、酒、食、漫画、着物などの分野で活動しつつ、美味、美酒を求めて国内外を歩く。これまでに40か国へと旅し、日本を含めて28カ国約80件の世界遺産を訪問。著書に「英国貴族の館に泊まる」(小学館)、「ハリー・ポッターへの旅」「赤毛のアンの島へ」(ともに白泉社)、「ニッポン『酒』の旅」(洋泉社)など。2016年6月に「英国ファンタジーをめぐるロンドン散歩」(小学館)を上梓。

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