ホーム > 連載企画 > 第42回 パリでJOMON

このページの本文

連載企画

縄文遊々学-岡田 康博-

第42回 パリでJOMON 2011年2月4日

去る1月18日、青森県・北海道・岩手県及び秋田県の4道県は、パリで縄文文化に関する説明会を開催しました。昨年度のロンドンに続き、今年度は文化・芸術の都パリで、イギリスにあるセインズベリー日本藝術研究所の全面的な協力を得て開催することができました。


会場のパリ日本文化会館

縄文遺跡群の世界遺産登録を実現するためには、国際的知名度を高めることと、縄文文化や縄文遺跡について正しく理解し てもらうことが必要です。ヨーロッパでは、昨年度大英博物館で日本の土偶展が開催されたり、パリでも縄文土器の展示が行われていたりしますが、まだまだ十 分に縄文文化について承知されているわけではありません。

パリは、縄文文化に芸術性を見いだし高く評価した岡本太郎が学んだ地であり、シラク前大統領も縄文土器に大変興味を持 たれたこともあり、そして世界遺産を所管するユネスコ本部もありますので、縄文遺跡群の説明会にはふさわしい場所ということになります。会場はエッフェル 塔の近くのセーヌ河畔にあるパリ日本文化会館で、パリでの日本文化の情報発信の拠点となっています。ガラス張りの近代的な建物でした。

説明会は、ニコール・ルーマニエール セインズベリー日本藝術研究所長の趣旨説明に続き、橋本都青森県教育委員会教育 長の挨拶、そして、第1部として縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会委員であり、縄文文化研究の第一人者である小林達雄國學院大學名誉教授による「縄 文文化」についての講演、同専門家委員会委員長である菊池徹夫早稲田大学名誉教授による「日本の文化財の保護と活用」についての講演、そして私が世界遺産 登録を目指す4道県の取り組みや遺跡の紹介等について発表しました。

第2部は、フランス側からパリ第一大学のジャン・ポール・ドムール教授とフランス国立東洋言語文明学院のロラン・ネスプルス准教授の二人の先生の発 表がありました。ドムール先生はかつて三内丸山遺跡を訪れたことがあり、遺跡や出土品の説明や弘前さくらまつりをご案内しました。

10年振りの久々の再会となりました。ネスプルス先生とは初めてお会いしましたが、以前ルーブル美術館が主催したシンポジウムで私の発表原稿のフランス語訳をしたことがあるとのことでした。

ドムール先生からは、4道県の取り組みを評価した上で、新石器時代初期には各地に多様な文化が展開したことや縄文文化は明確な農耕を伴っていない以上、新石器文化というよりも中石器文化に相当するべきとの考えを話されました。


説明会の様子

また、ネスプルス先生は縄文文化一万年間をひとつの文化として括ることについて、さらに検討が必要であることを示しました。また、会場との質疑応答では4道県で進める理由や今後の資産の拡大等についての質問がありました。

そして最後は山上進さんによる津軽三味線の演奏で大いに盛り上がり、説明会は無事に終了しました。

説明会終了後は、木曽功ユネスコ大使御夫妻出席のもとレセプションが開かれ、4道県各地の銘酒が用意され、互いに親交を深めた次第です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

プロフィール

岡田 康博

1957年弘前市生まれ
青森県教育庁文化財保護課長  
少年時代から、考古学者の叔父や歴史を教えていた教員の父親の影響を強く受け、考古学ファンとなる。

1981年弘前大学卒業後、青森県教育庁埋蔵文化財調査センターに入る。県内の遺跡調査の後、1992年から三内丸山遺跡の発掘調査責任者となり、 1995年1月新設された県教育庁文化課(現文化財保護課)三内丸山遺跡対策室に異動、特別史跡三内丸山遺跡の調査、研究、整備、活用を手がける。

2002年4月より、文化庁記念物課文化財調査官となり、2006年4月、県教育庁文化財保護課三内丸山遺跡対策室長(現三内丸山遺跡保存活用推進室)として県に復帰、2009年4月より現職。

バックナンバー

本文ここまで