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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第22回 魅惑の国宝土偶展 2010年2月5日

青森県出身の若手イラストレーター・ムラサキマサエちゃんと一緒に、東京国立博物館で開かれている「国宝 土偶展」を観て来ました!

おおおおお。日本中の、普段地元ではお目にかかれない土偶達が一堂に会するとは!

土偶の皆さんもまさかここで落ち合うとは、思ってもみなかったことでしょう。

それとも何千年の時を経て、ここで落ち合うことはもう決まっていたことなのでしょうか……!?

東京国立博物館に大きく掲げられた、「国宝 土偶展」の文字。

写真は縄文のヴィーナスです。興奮したマサエちゃんが言います。

「アレ何、アレ!」

「アレは、縄文のヴィーナスだよ!」「いやあ。土偶なんて本当に普段、観る機会がないからねえ!」

「そんな貴方の新鮮なご意見が聞きたいと思ったのですよ! さあ、ヴィーナスが我々を呼んでるよ! 行こう、マサエちゃん!」

いざ、土偶の世界へ!! 国宝 土偶展の中に一歩足を踏み入れると、そこは。暗がりに土偶が神のように映し出される、ライティング効果バリバリの素晴らしい世界でした! 入った瞬間に会場全体を見渡し、呟いたマサエちゃんの衝撃の一言。

「なんか、土偶って……アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の、シト(使徒)みたい!」

……しょ、初っぱなからフレッシュなご意見だーーー!!

発生期の土偶(形がまだはっきりしていない)のたどたどしさも、なんだかドキドキさせられます。三内丸山遺跡出土の、例の大型板状土偶を観て、驚くマサエちゃん。

「ええっコレって、青森県の土偶なの?」

「そうだよ~三内丸山遺跡のだよ~!」

「紀元前三千年って、五千年前だべ? 土から産まれたものがまた土の中に戻ってまた掘り起こされるって……なんで土から、土でできたものがだよ!」

「そうだよねえ。よく、土に混ざらなかったよねえ! 科学的に言うとさ、炭化したものは微生物に食われにくいんだって。やっぱり微生物もコゲたのはまずくて食えねんだって!」

そして私たち妙齢のギャル二人は、豊かな造形の土偶達を眺めて言いました。

「土偶って、格好いいね……。なんか、この土偶にだったら私、抱かれてもいいかも。」

「ええっ抱かれたい土偶第一位!? って、土偶って女だし!」

「えっ女なの!?」

「いや、女らしいよ!? ホラ、見なされよ。この縄文のヴィーナスのお尻を……なんとふくよかなお尻だこと!」

「うん。これは惚れてまうがなあ!」

「八戸市の風張遺跡から出土した合掌土偶も、座産のポーズだっていう説があるッス。あ、合掌土偶、意外と小さい……!」

「ワア~! 腕とか足に入っている紋様が、半端ないねえ~」

「あ! 向こうにあるヤツ! アレは……! 私の憧れの、前が清らかな女性の顔、後ろが邪悪な蛇にも人骨にも見えるっていう、中沢新一さんが『ほぼ日刊イトイ新聞』で解説していたアレ※じゃないですか!」

駆け寄ってみると、本当に恐ろしいほどの造形力をもった釣手土器(長野県富士見町曽利遺跡出土)が、展示されてあったのでした!!

全体が香炉になっていて、当時はこの中で動物の脂を燃やし、火が焚かれていたというこの土器は、前面が清らかな女性の顔、背面が、何匹もの蛇が骸骨の頭髪のように立ち上がる、呪術的な形をしています。本当に、現代人の私を脅かすほどに、どうやって造ったのかが想像できないほど、この造形は熾烈をきわめます。

思わず言葉が洩れました。

「か、格好いい……。」

そんなわけで私の「抱かれたい土器、第一位」は、長野県・曽利遺跡の「釣手土器」に決定したのでした!

国宝 土偶展は、東京国立博物館にて2010年2月21日まで開催中です!

 

※参考 ほぼ日刊イトイ新聞 中沢新一 『明日の神話』解説(動画)

http://www.1101.com/taro_money/nakazawa/index.html


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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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