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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第30回 思って、上がって。 2010年11月4日

先日、また環状列石を求めて秋田県の伊勢堂岱遺跡まで行ってきました!環状列石を求めて……秋田県は大湯ストーンサークル、青森県は小牧野ストーンサークル、大森勝山遺跡と。

何故に環状列石を求めて私が移動するのかというとですね、これはもう、思い上がるためと言っても過言ではないのです。「思い上がり」という言葉は、悪い風に使われることが多いのですが。

「思って上がれる」なら、上がった方がいいと思いませんか?そして、思って上がった先に一体何があるのか? というと、もう、それはそれは心地よいフワフワの雲の上にいるようななんともいえない気分が待っているのです。まず縄文遺跡に行く日は、私の場合はいつも天気予報が雨なのですが。

遺跡にたどり着いた時に雲が晴れて、太陽がのぞいてくるとですね。完全に私は思い上がれるわけですよ。「ああっ、遺跡に着いたら太陽が……私のために!」と。これぐらいではまだ思い上がりも序の口なのですが、以前に集中豪雨で青森空港が落雷のため、停電した日がありまして。

そんな日に私は、青森空港からほど遠くない、小牧野ストーンサークルに出かけたわけですよ。外は豪雨で10メートル先が見えない状態なのに。「だけど、遺跡に行けば晴れるはず!」そう思い上がった私はぬかるんだ山道を軽自動車で登って行ってみたんですね。

そうしたら、本当に小牧野遺跡の上空だけ晴れていたんですよ!地面が濡れてもいなかったです。これはもう、思い上がりもしますよね……。しかもその日は遺跡で踊りまくっていたら、青い2頭のアゲハチョウがストーンサークルの中を飛んでいて。「ああっ、蝶まで私を歓迎して……神様、ありがとうございます……!」と、この日。

私は完全に思い上がってしまったわけです。そう。まるで、EXILEのファンの子が日本武道館から秋田県の大館樹海ドームまで、あらゆるライブ会場をハシゴして、ステージ上で踊るヴォーカルのATSUSHIがこちら側を見た瞬間に、「ああっATSUSHIと目が……!

やっぱりATSUSHI、私のこと好きなんだ……!」と思い上がっちゃうように、私は縄文遺跡に行くと行く度に思い上がってしまうわけです。EXILEのファンの子がヴォーカルのATSUSHIに恋をするように、縄文遺跡に恋をしている私は、遺跡で太陽と目があっただけで完全に舞い上がり、「思って上がった」その先では、はかりしれない幸福の中でいつも踊っているのです。

プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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