「最初から決めていました。」突然キザなセリフでごめんなさい。
さんまるミユージアムで展示されていたときは当たりまえすぎてまるで気にもかけなかったのに、居なくなったら突然寂しくなり、「周りに圧倒されて小さくなっているのでは」、「ホームシックにかかっているのでは」、なんて子どもを都会に出した心配症な母親のようになってしまいました。だから、最初から決めていました。特別展「縄文-1万年の美の鼓動」。7月3日のオープン時に縄文ポシェットに絶対会いに行くと。
東京国立博物館デビューのガイド仲間2人と開館時間前に到着するも、すでに多くの人が会場へと入って行くのが見え、縄文人気はすごいなと感心させられてしまう。
作品ナンバー8と付けられた縄文ポシェットは第一展示室の前方のケースの中、あまりにも早いいきなりの再会にドキッ、思わず手を合わせて拝んで、涙さえ出そうになり、仲間に笑われてしまう。ケースを囲んで「暗いから編み目良く見えないね」、「三内で見るのと雰囲気違わない?」と話していると人が集まり、ついつい解説し始める。最後に「三内丸山遺跡へどうぞ」とちゃっかり宣伝までしてしまう。
「あなた、スタイルいいね」「生まれつきです」、「何千年何を祈っているの?」「世界平和!」、「何千年も両手広げて疲れない?」「肩凝ります」なんて土偶’ズトークをしている元気な土偶たちと、幾何学模様で埋め尽くされた縄文の美を代表する土器たちの中で、このポシェットはどこかやわらかさを感じます。図録で拡大された規則性の編み目と長い年月を経た木の飴色のとろりとした色調を見て、よくぞこうして残ってくれましたと感謝したくなります。ポシェットに残されたクルミも愛らしく、縄文のぬくもりを更に重ねてくれているような気がします。
このポシェットのファンになられたら、警備員につまみだされない程度に解説することをお勧めいたします。例えば「編み目は右あがりになっていますよ」とか「中にクルミが入っていたのよ。可愛いー」と。ファン増殖間違いなし。
さんまるミュージアムではあなたの留守を誰が守っているか心配でしょう。
ご安心下さい。南盛土から見つかった、あのヒスイですよ。久しぶりの舞台センターでスポットライトを浴び、緑色をきらきら輝かせ、かなりの存在感ですよ。360度からぐるりと見られるので、ヒスイの厚みの変化や、穴の大きさが表と裏で違っているのがよくわかります。縄文時代はどちらが表だったのかな、なんて考えると又このヒスイから離れられなくなってきます。
大人のお客様がヒスイの穴をのぞいていますよ。その先には少し不思議な遠く感じる世界が見えるような気がします。大発見!
東京国立博物館の展示が終わると秋にはパリで「縄文」展ですね。世界中の人々に仲間たちと縄文の素晴らしさを宣伝してくださいね。大丈夫、あなたたちなら成功間違いなし。長旅なので、身体に気をつけてください。今度会うときは三内丸山は雪の季節ですが、おみやげ話を楽しみにしています。

縄文ポシェット(三内丸山遺跡 重要文化財)

特別展「縄文-1万年の美の鼓動」東京国立博物館