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連載企画

だびょん縄文

第4回 おおーっ 2160頭のイノシシが! 2018年10月5日

9月15日~17日は「さんまるJOMONの日」。三内丸山遺跡では、縄文時遊館、遺跡、ピクニック広場全部を使用して多くのイベントが日替わりで行われました。全てのイベントを見るためには毎日通わなければなりません。3日間の入場者数は12,648名なので、もしかしてそんな家族もいたのかも。

ずーっと前から心待ちにしていたのは、2020年の世界遺産登録を目指し、2020頭のイノシシで世界最大の記録に挑戦する折り紙オブジェ。壁に貼ると、結構な迫力だ。傍でギネス世界記録の認定員がイノシシ一頭一頭をチェックし、不合格者(物?)に付箋を貼っている。
当日のチャレンジャー用に、残り100頭分は空欄でそれを折る参加者が列をつくって待っている。最後から2番目に貼った小学2年生のななはちゃんに、「貼る前にどこをチェックされたの?」と聞くと、「おしりのとこ。緊張した」、「おしりのとこ、県の方に折ってもらったよね」とお母さんにネタバレされ、「ちがうよ」と不満顔。でも今どきの子らしく、「テレビに写るかな?」とこちらも気になる様子。
この日折られた100頭のイノシシが隙間を埋め尽くし、5分間の展示後、審査にはいる。そして結果発表。目標を大きく上回る2160頭のイノシシ折り紙オブジェでギネス世界記録達成! 拍手と歓声の中、知事に世界記録認定証が渡された。
壁に貼られたイノシシは、焦げ茶、茶、うす茶色の3色のグラデーションとなり、一頭一頭も立体的に後足がピンとはねて紙とは思えない躍動感がある。じーっと見ていると、こちらに飛び出してきそうな錯覚にとらわれる。もし縄文時代に2160頭のイノシシが走り回っていたら、夕食は「分厚いステーキ」なんだろうねえ。

認定員による厳しいチェック

 

カメラに囲まれながらイノシシを貼っています

 

「さんまるJOMONの日」、縄文時遊館の遺物見学では、土器だけではなく、土偶、石器、石斧等が展示されている。担当者が「どうぞ触ってください」と言うと、「本物ですか」と必ず聞いている。そして「すごーい本物だって」、「ケースの中だけで見る物だと思っていたので触らせてくれるとは太っ腹ですね」、と驚きの声があがる。
外ではあおもり伝統芸能フェスティバルが行われている。こちらも好きなイベントで、地元でなければ見ることができない神楽や獅子舞などが披露されている。中泊(なかどまり)町の『小泊(こどまり)網おこしはやし』は、聞けば、北海道のにしん漁にたくさんの村人達が働きに行っていた。そのにしん漁の網を起こす時に歌われ、眠気が襲うのを防ぐために、男女の掛け合いで歌うそうで、言わば労働歌だ。日焼けした本物の漁師さんもいて、訛りのある歌声は地元の空気を運んできたようでどこかなつかしい。

網の魚が跳ねます

 

静岡から来た大坂なおみちゃん似のクラフト作家は、「三内丸山と言ったら板ちゃんでしょ」と銀細工板ちゃんを見せてくれた。「おいくらですか?」「○万円です」うっ、手が出ない。すかさず「カードでどうぞ」と。遺跡でカード払いとは。これも縄文と現代のコラボ?

銀細工板ちゃん

 

縄文をいろいろな素材に溶かし込んだ楽しいイベントとフォーラム、さらには発掘現場見学といった最新で本物の遺跡情報が発信されている場所もある。遺跡で縄文を楽しみ尽くす、これが「さんまるJOMONの日」の魅力なのかもしれない。

今も館内には2160頭のイノシシがいて、お客様がじーっと見つめたり、写真を撮ったりしている。
新しい見どころが一つ増えたような気がしている。三内丸山遺跡へお出でいただいて、ぜひこのイノシシ達の迫力を体感して下さいね。

完成した「世界最大の猪形土製品の折り紙オブジェ」
2160頭のイノシシが世界遺産登録へ向けて猪突猛進!!

プロフィール

だびょん縄文

主婦 三内丸山応援隊ボランティアガイド歴23年
青森県立郷土館協議会委員 じょうもん検定上級合格者

三内丸山遺跡でガイドをして縄文遺跡に魅せられ、
全国各地の遺跡を訪れ、ますます魅せられ、
正真正銘の縄文ファンとなる。

「青森県民は三内丸山遺跡で元気をもらい、今ももらい続けています。
だから100年200年後の人たちに世界遺産という大きいリボンをつけて贈ることが今の私たちの任務だと思い、日々活動しています。」

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