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連載企画

だびょん縄文

第11回 春の三内丸山は見どころいっぱい 2019年5月24日

平成も残すところあと2日となった4月29日、三内丸山遺跡の入場者数が累計8,500,000人となり、セレモニーが行われた。平成6年8月の一般公開からスタートして約24年。今日もたくさんのお客様がお出でになっている。4月から三内丸山遺跡センターとして観覧が有料となり、少しはお客様が減るかなと思ったが逆に増えているような気がする。本当にありがたく、ガイドにも力がはいる。
10連休は30分置きに行われるガイドにも50~60人の参加はあたりまえ、平成7年の三内丸山遺跡の大ブームを思い出した。10日間の入場者数は24,700人だという。遺跡に来た理由を聞いてみた。「この時期、桜が咲いている所は青森だから」、「弘前の桜を見にきたから」、「教科書に載っている場所を一度見たかったから」、「リニューアルされたと聞いたから」と様々話された。そうそう、体験工房では県外からの子どもリピーターたちに会えた。去年の夏に板状土偶を作り、今回もまた板状土偶に挑戦した。「だって、楽しいんだもん」と。めんこい子どもたちだこと!

1年生のリピーター

センターのオープン記念特別展で「縄文の色展」(会期:6月9日まで)新しいウィンドウが開きますが開かれている。黒曜石の色に光をあて、三内丸山に運ばれて来た黒曜石の石器を展示している。プロローグに、「『この地図はどこで買ったの。黒曜石でできているねえ』ジョバンニが云いました。『銀河ステーションでもらったんだ。君はもらわなかったの』」と、「銀河鉄道の夜」のシーンが書かれている。この企画の担当者は本当に黒曜石が好きで黒曜石に常にアンテナを張り巡らしていて、この童話に出会ったのと思うと嬉しくなる。長野県の透明な矢じりはカムパネルラが見たいといった白鳥が宇宙を飛んでいるかのように配置したり、パネルには三内丸山物流ステーションと書いてあったりと小さなしかけがある。真っ黒な黒曜石が夜?なんて、すっかり会場が「銀河鉄道の夜」に思えてきてしまった。

白鳥(長野県産黒曜石)

 

三内丸山物流ステーション

気持ちを切り替えて、次の日、また、足を運ぶ。今日は色に集中しようと。北海道産は黒色なのに長野産は透明で、よく見ると透明の中にも黒い筋が入っていたり、少し茶色っぽかったりと様々で、色を見つけるのもまた楽しい。形も北海道産は大型で柄がついているが長野ブランドは小さめで柄がついてない。三内丸山では縄文時代前期は青森県と北海道の黒曜石だったのが中期になると長野や佐渡、山形と遠方の黒曜石が入ってくる。縄文高速道路でも開通したのか一気に物が動きだす。透明で形が洗練されている長野産の黒曜石を初めて見た三内丸山の人は「これはたまげた」と言ったのでは、なんて想像すると縄文人が身近に感じる。
この高速道路を利用して、他に何が運ばれたのだろうか。伝わった情報や伝えなかった門外不出の情報もあったかもしれない。

各地からもたらされた黒曜石製石器

 

今年も5月13日から遺跡で発掘調査新しいウィンドウが開きますが始まった。今年は大型掘立柱の北側、あの重要文化財「縄文ポシェット」が出たあたりの遺跡北端部の盛土などを調べるという。早くもちょっとわくわくしている。7月からは一般公開も。土日や悪天候では発掘調査はお休みなので、遺跡へおいでになる前に確認された方がよろしいです。それでは遺跡でお会いしましょうね。

宮城県からの縄文家族

 

「ハイテクでびっくり」とITガイド使用の名古屋市からの縄文カップル

プロフィール

だびょん縄文

主婦 三内丸山応援隊ボランティアガイド歴23年
青森県立郷土館協議会委員 じょうもん検定上級合格者

三内丸山遺跡でガイドをして縄文遺跡に魅せられ、
全国各地の遺跡を訪れ、ますます魅せられ、
正真正銘の縄文ファンとなる。

「青森県民は三内丸山遺跡で元気をもらい、今ももらい続けています。
だから100年200年後の人たちに世界遺産という大きいリボンをつけて贈ることが今の私たちの任務だと思い、日々活動しています。」

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