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連載企画

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第13回 貝塚からみつかるもの 2019年12月17日

二ツ森貝塚は明治時代から存在が知られている遺跡で、昭和、平成の時代を中心に多くの発掘調査が行われており、出土遺物の量は小学校の教室1つを埋め尽くすほどになります。七戸町ではその資料を遺跡から約800mの場所にある旧天間東小学校の校舎の一部をガイダンス施設に整備し、展示することとしています。

施設のメインとなる展示では、「研究史」、「貝塚」、「暮らし」といったテーマを決めて資料選びを行っています。
その中でも「貝塚」は二ツ森貝塚を特徴づける大きなテーマの1つになります。二ツ森貝塚からはヤマトシジミを主体とした貝類、魚類、ほ乳類、鳥類など多様な動物の骨が貝塚から見つかっているとよく言われますが、実際にどれだけの種類の動物がいるのかはっきりわかっていません。
そこで今回の展示をきっかけに、史跡の東地区にある東第Ⅰ・Ⅴ号貝塚、西第Ⅴ号貝塚を発掘調査した際に採取した資料の中でも、種の同定(生物の種名を明らかにすること)を行っている資料をみて、どれくらいの動物がいるのか調べることにしました。

貝塚の分布

結果、貝類は現在もよく好んで食べられているアサリ、ハマグリ、ホタテなど22種類が見つかりました。カキはスーパーや市場では見たことがないくらい大きいものもあります。魚類はウグイやカサゴ、マダイ、ヒラメなど29種類、その他にもほ乳類は縄文時代の遺跡でよく見つかるシカやイノシシをメインに、ウサギやタヌキなどの小動物の骨を確認することができました。聞きなれた動物の名前が多くみられましたが、魚や貝は淡水よりも汽水や海水に生息する種類が多く、現在の小川原湖周辺では生息していない種もいました。縄文時代当時の二ツ森貝塚周辺の自然環境は、温暖化の影響で遺跡がある台地の周囲まで小川原湖が湾状に広がっていたと言われていますので、多様な動物に恵まれた環境だったのでしょう。
調べた地点や資料が限られていますので、今回の結果が二ツ森貝塚の食料事情のすべてではありませんが、これまでかなり漠然としていた「貝塚から見つかったもの」をほんの少しだけ具体的にすることができました。

ガイダンス施設は2021年4月の開館を目指し、現在工事を行っています。お話ししたもの以外にも二ツ森貝塚の資料を皆さんにお見せできるように準備していきますので、どうぞお楽しみに。

ガイダンス施設に活用する旧天間東小学校

(髙部由夏:七戸町教育委員会世界遺産対策室)

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