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連載企画

縄文の風を感じてみませんか?-土岐 司-

第27回 お祭りだよ! 集まれ!2 2009年10月30日

ブナの木はアイヌ語では「ピラニ」だ。ブナの木は獲物を下げることに使われたようだ。多分、これは重要な宗教的な意味を含んでいたのかも知れない。

いわゆる「祀りごと」で授かりものに感謝するセレモニーと捉えても良いようだ。このことから推して考えればアイヌの人々の「熊まつり」は「熊祀り」ではないのかとフト思い当たったが無理だろうか。

私の場合、日本の宗教(神道・仏教など)に縁が薄い環境で育ち儀式に列する経験が少ないので知識不足だが、浮かれて飲み食いする「祭り」ではなく厳粛な宗教儀式が本来の姿であることがわかってきた。もちろん、現代でも巷の衆には見えないところで儀式が執り行われているのだろうが、無縁の私には見えないだけのことと思っている。

それにしても津軽では町内ごとにお宮さんがあり宵宮がある。夏ともなれば「今日はどこそこの宵宮だ」とか「うちの町内の宵宮だから、飲みに来て」とか忙しくお誘いをうけることがある、これには宗旨の違いではなく出不精の私は行くこともなかった。それを知る友人は「宵宮だから・・・」と赤飯を届けてくれて随分経つ。出不精の原因は、教員の私が祭りの賑わいを歩くと校外指導に来ていると見られてリラックスの時間にならないことに機縁していたのです。最近では「グランパ、グランパのところヨミヤだね」と電話で勧誘されるようになり出かける楽しみに変わったが、孫の目的は「わたあめ、金魚、はなび」のオネダリが定番である。

(注:娘の嫁ぎ先の姑と区別するため「ぐらんぱ」「ぐらんま」になっている)

やはり「祭り」は人々の距離を近くしている。津軽では宵宮を「夜宮」というが近隣から知人が集まって宴を楽しみ旧交を温める素敵な行事であることは今も昔も変わらない儀式になっているのがイイ。縄文の丘の「月見」から以外な処まで話題が及んだが、これ以上堀り起こせば私の手に負えないことになるので「トッツパレ」にしよう。

(注:「トッツパレ」は岩手の「どんとはれ」と同義で「おしまい」の意)

プロフィール

土岐 司

1942年青森県生まれ

高校理科教員を38年勤め、2004年有限会社ヒーリングエコツアーPROガイド エコ・遊を設立。 教員在職中、白神山地を題材とした授業の中で、白神の自然を後世に残すという想いに目覚める。

会社設立より現在に至るまでのシーズン中(5月中旬~11月中旬)に白神を留守にしたのは片手で数えるほど。

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