この夏、縄文の仲間たちと、イギリスで開かれている「土偶展」を見に行ってきました。
重い腰をあげて、ようやく実現しました。去年の夏、三内丸山遺跡でお会いしたアンドリュー・コックロン博士(セインズベリー日本芸術研究所・研究員)が、こんせつ丁寧に案内してくれました。
《写真1 入場券がわりの土偶》まず、入場券がわりに、手のひらにおさまるミニ土偶が、ひとりひとりに配られました。今回の展覧会用に5000個作ったといいます。その意気込みに脱帽!
《写真2 アニメ・踊る土偶》会場に入ると、最初に目に入ったのは、アニメ作品の「踊る土偶」。土偶が踊るという発想は、考えても見なかったので、ドギモを抜かれました。このアニメでは、上体を左右にひねり、お辞儀をするという控えめなものですが、「踊る土偶」の視点で、もう一度、実物の土偶を見直してみると、もっといろんなことが分かるかもしれません。
《写真3 バービー人形》次に展示されているのは、バービー人形。コックロン博士は、こんなお話をしてくれました。「そもそもバービー人形は、子供用につくられたのに、その後、大人の関心をあつめるようになった。1000年後、この人形が、ひょんなことで発掘されたとき、後世の人たちはそのことを理解してくれるだろうか?」このことから翻って、土偶についても、わたしたちは、もっと柔軟にその意味を考えてみたらどうかという「問いかけ」なのだそうです。土偶からの問いかけは、さらに続きます。
あるコーナーで、最初に入場券がわりに渡された土偶を壊してみませんかといわれます。渡されて、わずかの時間しかたっていませんが、ミニ土偶に愛着が湧いて、とても、破壊する気にはなりません。縄文人が、土偶の一部を破壊したのは、どんな心理状態だったのか?日常とは違うなにかよっぽどの思いが、あったのではないでしょうか。
そこで、展覧会では、土偶のかわりに、用意された土器のかけらを割り、縄文人の気持ちを探ります。このように、この「土偶展」は、つぎつぎに「土偶からの問いかけ」が、繰り広げられます。この豊かなアイデアを支えているのは、多くのアーティストたちでした。アイデア次第で、まだまだ土偶が、活躍する可能性を痛感させられました。旅のつづきのお話は、またいずれ。