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連載企画

縄文のワケ -菊池 正浩-

第34回 災害と縄文人 2011年3月16日

バケツをさかさまにしたような円筒土器。北海道から、北東北にかけて、円筒土器文化が広がっています。これが、大いなる天災をのりこえる縄文人の知恵の結晶だったということをご存知ですか。

東京大学の辻誠一郎先生のお話を要約すると、こんな具合になります。

太古の昔、北東北で、火山の大爆発がありました。そのときの噴火で、十和田湖ができるほどの大規模なものでした。火山灰は、北東北から東北南部まで、北は、北海道まで及んだといいます。その一面火山灰に覆われた一帯から、こつ然と円筒土器が生まれ、円筒土器文化が花開いたといいます。それ以前の土器のタイプとは異なり、そのエリアも火山灰に覆われた地域とほぼ重なっていたというのです。

辻先生は言います。「災害を生き延びるサバイバルとして、新しい円筒土器文化が生まれたのではないか?」

ゆうゆうと自然と共生していたように見える縄文人も、大きな災害と向き合い、必死で

新しい文化を生み出してきたのです。

東北を中心に、日本列島が大きな災害に直面している今、縄文人のしたたかさにならい、

一歩を踏み出していこうではありませんか。

被災した東北のみなさん、くじけないで頑張ってください。

プロフィール

菊池 正浩

番組プロデューサー。

NPO法人・三内丸山縄文発信の会会員。 1946年生まれ。青森県弘前市出身。早稲田大学卒業。NHK入局後、美術・歴史番組を担当。 1994年NHK青森放送局で大集落発見直後の三内丸山遺跡を紹介。

その後、東京で NHKスペシャル「街道をゆく」「四大文明」 「日本人はるかな旅」「文明の道」などを担当。

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