青森県から縄文の語り部に認定をして頂けましたので 最近の「仕事」のご報告をひとつ・・・ OIS(関西学院大阪インターナショナルスクール)で小学生にアートを教えているジェニファー先生に、「子どもたちと土偶を作りたいので縄文時代について話して!」と頼まれました。
生徒たちが作ったキュートな土偶たち
そこで復元画や写真、三内丸山のワークショップで使ったパネルや絵本、日英対訳の『縄文ファイル』(NPO縄文発信の会発行)などを携えて 2時間ばかり語り部に行ってきました。
その時の様子を紹介したOISニュースレターはこちらからどうぞ(英文)
5年生、6年生のクラスでしたが、パワーポイントで披露した出土品、遺構や復元画を見ながら、家作りの道具や食料の保存などについても子どもたちから鋭い質問が飛び交い、結構手ごたえがありました。アメリカ人のジェニファー先生はモダンアートと民俗文化にも造詣が深くご主人は南米チリのアーチストです。
OISのカリキュラムは独創的で年度ごとに学科をクロスオーバーした共通のテーマが設けられています。
今年度のテーマは 「古代」。 生徒たちはそれぞれの学年の社会や科学の時間に人類発生から古代文明までを学び、それらの知識から得られるインスピレーションをアートや音楽、ドラマの時間などにつなげていきます。
この訪問の後、貸し出した本やパネルを参考にして子どもたちが作ったJOMON造形がこちら。(写真右参照)どうです?流行の陶芸作家ルーシー=リーを思わせる趣ですね。
粘土作品や書籍などを説明
確かに縄文的な要素をもってはいますがカラッと軽快で、私が普段 縄文ワークショップで眼にする日本の親子の作品と比べても おもしろい対比だと思いました。釉薬の色の影響もあるとは思いますが、あえて対比することで縄文の造形について再考するよいきっかけになると思いました。
山に雲が湧き川霧たちこめる日本の湿潤な風土。また、土方巽が言ったように「重心が下にある」という身体的なバランスの在りよう。こういった逃れがたい生来の感覚が私たちの体に静かに受け継がれているようにも見えてきます。
山田スイッチさん Jomon Timescape登録へ名乗りを上げてくださって有難うございます。お庭の竪穴住居は 実践道場として大変に役立ちそうですね。
家族という普遍の人間関係をそのままによく見知った環境で、子どもたちとともに朝の鳥のさえずり、夕刻の物寂しさ、焚き火の暖かさなどを感じながら縄文的なものを見つけていくのは素晴らしいことだと思います。
たぶん 夜にはその日に見聞きしたことなどを物語にして話し合ってみるといいかもしれないですよね。物語の中のモノたちが、縄文土器の紋様のように互いに繋がりあい姿を変えながら毎夜語り継ぐ物語になっていく・・・なんて素敵ですね。
せっかく話題にして頂きましたので舌足らずであるところを補足しておきたいと思います。私の考える Jomon Timescapeは縄文体験をすることそのものだけではないと思っています。
Timescapeのレーダーで見渡して、今、現在の風景、風土、民俗のなかに「縄文的なもの」つまりは「縄文の面影」を見つけだし、登録していく という「システムの呼称」がJomon Timescapeなのです。
「縄文的なものとは何なのか?」そこでは当然そういう問いが生まれるでしょう。「縄文的 とは?」 「縄文とは?」・・・と問い続けることがむしろ主旨ではないかと思っています。
「縄文人と縄文時代」 を現代の私たちの在りようと相対化して見比べる眼 それがJomon Timescapeというシステムの理想の働きでしょうか。
縄文検定に合格した人々 即ち「縄文の素養がある人」によって それは探され、発見されます。次にその人が見出した縄文的なものをどの人もが受け入れるために 「縄文とは」の問いが再び問いなおされ、また問いかけられる・・・それこそがJomon Timescapeの 主旨なのではないかと考えていたりします。
安芸 早穂子 HomepageGallery 精霊の縄文トリップ