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連載企画

縄文探検につれてって!-安芸 早穂子-

第35回 一度だって行ったことのない故郷にささげるRAP (ラップ) 2011年5月22日

Hey Kids ! 21世紀のこどもたち
「そっちはお変わりありませんか?」って 挨拶したいけど
それはもうできないって おいら達は知ってるぜ
あのあと世界は まるで変わっちまった おまえらは何ひとつ 変わっちゃいないのに
まわりの世界のほうが まるで変わっちまった あまりに理不尽に そうだろう? Hey Kids !? おいら達だって知ってるぜ

Hey Kids ! 21世紀の都会(ま ち)は悲しいくらい 何も変わっちゃいないって
いつまでも続くと思ってた 今日とおなじ顔をした明日(あした)
うすら笑いをうかべながら みんなと一緒に揺られてりゃあ
どこかに運んでってくれた ハイブリッドカー
どこかで聞いたようなセリフ 聞きながしてれば
ソツなく トゲなくつきあえた セレブでVIPな顔のないやつら
土偶ヤロウ!!  そいつらのことさ カオもアタマもねえやつら !

Hey Kids ! 21世紀のこどもたち
おまえ達が 一度だって行ったことのない故郷
大好きだったかもしれない港町 地図でさえ知らないうちに
たどり着けたかもしれない故郷 目指してもいないうちに
そう どっかに行っちまった いきなり消え失せちまった
一度も聞いたことのない祭囃子 誰も教えてくれなかった島の暮らし
そうさ そこには確かにあった ずうっとずうっと 時を超えて
おいらたちと繋がってきた あの小さくて 辛抱強くて 温かな故郷

おまえ達21世紀の モノばかり最盛期の
大都会のこどもたちへ
そんなモノあるってことさえ知らなかった
小さな工場でつくる小さなパーツ
その小さな小さなしごとが無けりゃ できやしねえんだよ
ハイブリッドカーなんて
Of course! 都市(まち)暮らしが眼をとめるのは
ツルピカのプラスティックかキンキラのメタル
No way! 誰も知ろうとさえしなかった
丹念な 端整な いぶし銀のGood job

Hey Kids ! 21世紀のこどもたち
オトナがばらまく ワナにはまるな モノばかり最盛期の monster cityで!
耳にはイヤフォン 眼には液晶スマートフォン 指が知ってるのはツルツルタッチ画面
鳥が鳴かない 誰も聞かない  花が咲かない 誰も見ない
たどり着けない めぐり合えない 語り合えない 愛し合えない!

Hey Kids ! 21世紀のこどもたち
一度だって行かないうちに 消えちまうんだぜ You see?
花は見ておけ ホンモノにさわれ 都市(ま ち)を逃げ出せ たった今 Just now!
一度だって考えたことない 故郷が消えて無くなるなんて You know?
行って語り合えばよかった 会って愛し合えばよかった too late!!
大好きだったかもしれない港町 たどり着けたかもしれない故郷
誰も教えてくれなかった 自分で探しもしなかった
一度も聞いたことのない祭囃子 誰も教えてくれなかった島の暮らし
どっかに行っちまった いきなり消えうせちまった

そうさ そこには確かにあった
ずうっとずうっと 時を超えて
おいらたちと繋がっていた
あの小さくて 辛抱強くて 温かな
大らかな 丹念な 端正な いぶし銀の
かっこいいおまえ達の故郷

安芸早穂子ホームページギャラリー
精霊の縄文トリップ
www.tkazu.com/saho/

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プロフィール

安芸 早穂子

大阪府在住 画家、イラストレーター

歴史上(特に縄文時代)の人々の暮らしぶりや祭り、風景などを研究者のイメージにそって絵にする仕事を手がける。また遺跡や博物館で、親子で楽しく体験してもらうためのワークショップや展覧会を開催。こども工作絵画クラブ主宰。
縄文まほろば博展示画、浅間縄文ミュージアム壁画、大阪府立弥生博物館展示画等。

週刊朝日百科日本の歴史「縄文人の家族生活」他、同世界の歴史シリーズ、歴博/毎日新聞社「銅鐸の美」、三省堂考古学事典など。自費出版に「森のスーレイ」、「海の星座」
京都市立芸術大学日本画科卒業
ホームページ 精霊の縄文トリップ www.tkazu.com/saho/

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