大阪駅に程近い高層ビルのあいだを歩く縄文美女。
教育テレビの番組で縄文ドレスをデザインしました。
青森の皆さん! 自慢に思ってくださいね。
次なるフィールドワークの成果は縄文服の復元、輝く第一号は亀ヶ岡 遮光器土偶を参考にしたシャコちゃんドレスだったのです!
モデルは小山先生が念入りに選んだ「涎の出るような」縄文顔…二重まぶたに濃い眉とまつげ、がっしり顎にぽってり唇の かんぺきソース顔の美女です。
シャコちゃんドレスに身を包み、なんだって彼女は大阪駅前に現れたのか!?
縄文の衣服をイメージするにあたって縄文探検隊がフィールドワークに行ったのは某女子大。…(やっぱりそこかい…!)
ところがお目当ては学生ではなく松本敏子先生でした。
松本先生は世界中に散らばる少数民族の衣装を研究、収集する民族服の専門家。被服研究科の学生さんと松本先生に乗り気になって頂ければ、幻の縄文ドレスを復元するに最強のチームです。
「土偶や仮面を見せられてもねぇ~」…と、決して前向きでない印象の松本先生でしたが、縄文時代の代表的な狩猟獣が鹿であったと聞くと にわかに顔色がぱっと明るくなりました。「土偶から縄文人の服を想像すると、衣服はかなりぴったりフィットのボディコンシャスですかねぇ…ぴったりした服はたいがい革製なのよ」
・・・しめしめ。
いったん興味を持つと松本先生はとてつもない快進撃を開始!小山先生もタジタジです。次に呼出しが掛かったときには本物のシカのなめし皮が2枚デ~ンと机に並べてありました。
「縄文娘は身長150センチくらいって?おとなのシカの皮でサイズぴったり!2枚でちょうどワンピースができるのよ!!」 ・・・すでにかなりのテンション。
「獣の皮で服を作るときは胴のくびれをウエストに合わせるわけ…首は首に、お尻はお尻に合わせるの」・・・それはおもしろいですね!(図参照)
胸元の縄飾り
はぎ合わせるのも縫うのも実際に人の身体にのせての立体裁断が普通らしい。
縄文人は立派な針やよく切れる黒曜石を使っていたのでツールも問題なし。
と、いうわけで2頭分のシカ皮で、ウエストがキュッとしまったキュートなミニのワンピースができました。
あとには細長い端切れの皮が残ります。もったいないので揃えて三つ編みにするとかわいい皮ヒモに。これを襟もとや袖口、裾にのせて ほつれを防ぐことにしました。するとこれがシャコちゃんの模様とぴったり一致! 一同興奮 !!
こうなったら模様もシャコちゃんしかない。
裁断も立体だったんだから 模様を描くのもモデルさんに着てもらって その上からボディペイントのようにいきましょー! ということに。
ものすごくうらやましそうに見ている小山先生を尻目に、筆はまどろっこしいので指で染料を塗りつける フィンガーペイントを決行!これがなかなか面白い発見に・・・女性の体のラインがぴったりと出ている服に直接描くと、胸のふくらみ、ウエストのくびれが自然に曲線を生み、ボディラインが一段と強調されることになったのです。
土偶のシャコちゃんが、女性の体形を強調したボディコンシャスラインを身につけている理由がすこしわかる気がしました。
こうして、セクシー柄のミニスカワンピースにバックスキンの編み上げブーツ、盛り髪に赤い櫛、ピアスに貝の腕輪といういでたちの、立派にモダンなイケイケ縄文ギャルが誕生したのです。
これは普通に大阪の街を歩いていてもおかしくない格好!ということで、昼休みのサラリーマンが行き交う大阪駅前で実験をすることになったのでした。
せっかちな大阪人ですが、それにしても誰一人違和感を感じる様子も無く縄文美女は ごく自然に現代の雑踏に溶け込んでいました。
(青森県木造町)
…ということはシャコちゃんがあなたの隣を歩いていても あなたは気がつかないかもね。変わったサングラスだな~って思うくらいで。
安芸 早穂子 HomepageGallery 精霊の縄文トリップ