11月のロンドンはさぞ寒かろうとヒートテック武装していった私は 大阪と同じようにヘンに生暖かい強風が吹きつける街を汗をかきながら歩いている変な東洋人です。
ソーホーで暇をつぶした後は大英博物館に舞い戻ります。6時半から講座があるのです。
モダンアートのクリスマスツリー(?)が
ありました。
真っ暗な博物館エントランスに入ると ナイトミュージアムの世界・・・案の定 警備員に呼び止められ「もう入館はできませんがっ!?」・・・「“日本とモダンアート”講座に参加するのです!」 「あ~それなら地下です」
・・・心細く一人で隠された地下のレクチャールームに行き着けばセインズベリー日本藝術研究所の方々が賑々しく受付にたむろ。 ほっとしました。
講座が始まると、スポンサーの東芝さんが何度も感謝の辞を述べられてヒーロー。
よしっ! 不況におののいていないでこのように文化貢献に名を馳せれば, 経済ばかりではない日本国家と企業の品格をいずれ他国に知らしめることになりましょう。
翌日は、青森県の世界遺産登録アピールのための三内丸山遺跡ワークショップ 「JOMON IN LONDON」 が開催されましたので、そちらにも足を運んでみました。
ワークショップの会場となったソサエティーオブアンティクオリーズ、ロンドン考古学評議会会館は インディー=ジョーンズが冒険に出かける前に 学者仲間と賭け事をしているような感じのお屋敷でした。 秘密めいて格式の高そうな、文字どおり 英国伝統の権化みたいな考古学者のサロンです。それがいわばロンドンの銀座 ピカデリーサーカスからほんの数分の立地にあります。
執事が開けてくれそうな玄関を入ると、コロニアルな家具と古書がびっしりと並んだ書棚、暖炉に赤い絨毯という部屋に案内されて、「お茶とサンドイッチでもいかがですか?」・・・とカンペキな英国アフタヌーンティーが待っていました。
プレゼンテーションのための大きな部屋も立派な装飾が施された天井にシャンデリア、ギリシャ風の柱に囲まれた壁にはディズニーランドのお城で見るような古めかしい肖像画があちこちに掛かっています。 思わずニヤついてしまう、これぞ英国!とも言うべきステレオタイプを絵に描いたような考古学の殿堂であります。
岡田先生はじめ 小林、岡村両先生とケーナー先生によってそこで披露された三内丸山遺跡の姿は 何だかなつかしい故郷のように思われました。
岡田先生からは、たくさんの人に愛され支援されながら、調査研究に観光親睦にとさまざまな局面で活発に活動している遺跡の姿が紹介されました。
三内丸山遺跡の調査から見えてくる縄文人の姿は、世界のどの国の人にも理解できる 自然と共存していた時代の人間の普遍的な姿であると再認識。
遺跡という土に埋もれた文化遺産をどのように世界遺産としていくのかという問いかけがありましたが、見えないからこそ より共感を持って万人に共有される世界遺産というものがあってよいと 私は深く思ったのでした。
講座終了後の聴衆の中には 先生方のサインをねだる方も少なくなく、かの国の人にも大いなるアピールがあったように見受けました。
ここを会場に使う人たちはこういうコスプレで登場すれば観客動員MAX間違いなしかと・・・
次回は 中世ヨーロッパとの出会い
――石本先生とロマネスク巡礼の旅――です。
安芸 早穂子 HomepageGallery 精霊の縄文トリップ