さて 恒例三内丸山遺跡「お月見宴」のシーズンがやってきました。
12回目で干支もひとまわり、これだけ多くの人が寄り集まって月を見てきた遺跡は そうはないでしょう。
奈良裕之さんが風変わりな民族楽器を奏でると
魔法のように景色が見える音色がしました
近隣の皆さんが 毎年楽しみにして、家族でお越しになる様子をみるのは 素敵なものです。 遺跡の地下の縄文人たちも 「お~みんな よー来たなぁ!今年も元気そうじゃなぁ~」と子孫たちのお祭りにひょっこり出てきそうです。
12回のうちには 台風の余波をくらって大雨が降った日もあり、厚い雲が垂れ込める日も当然ありました。・・・ところがです!
縄文村の遺跡の丘に闇の帳が下りて、次々と現れる楽師たちが奏でる音色に酔ううちに、分厚い雲がふっと途切れて煌々と満月が顔をだす という小さな奇跡を 私たちは何べんもこの目で見てきました。
ですから、月見の宴では、今生きている私たち人間をこえたものと分かち合う「祭り」が繰り広げられているのだと思っても、間違いとは言えないかもしれません。
縄文人はよく知っていたけれど、私たちはすっかり忘れているこの土地の精霊たちも、やっぱり楽しみにしているのかもしれません。招待をされていなくても そこにいる大切な審査委員。
名人山上進さんがかき鳴らす津軽三味線の郷土の音色が 三内丸山の丘を駆け上がるとき、 「丘の草に風がたち、雲は打ち払われて、月が顔を出すこと」について 私たちが気がつかないふりをしても、見えない審査委員たちはそれをしっかりと見て聴いて、彼らの心に響けば雲を打ち払って月の鐘を(喉自慢でいうなら)鳴らすのです。
さて、月見の宴は夜の催しばかりではありません。
日の高い間は遺跡公園の気持いい草原で 古代の村に思いを馳せてください。
気が向けば 遺跡と今の世界をつなぐ試みのために遺跡発掘の説明会やフォーラムで興味深い話を聴くことができます。遺跡公園ではバザールなども開かれるようです。
私は大型復元家屋のなかで 縄文ファミリーワークショップをしますからお気軽にのぞいてみてください。 去年は民族楽器演奏家の奈良裕之さんが様々な不思議な音色を奏でてくれて、圧倒的なパフォーマンスの後、贅沢なBGMに触発されながら 縄文の仮面を作りました。
http://www.net.pref.aomori.jp/jomonfan-aomori/essay/aki/vol010.html
縄文村の大公民館、巨大竪穴ハウスのなかで、贅沢に様々な音色を聴きながら、今年は 遺跡で育った草花を使ってうちわに絵を描こうという計画です。小さな石を自分だけの思い出の品にするペイントも考えています。
大いに楽しんで表現して下さい
葉っぱの絵は 音楽に合わせて踊る人でも、動物でも また精霊でもいいでしょう。
それはあなたのイメージが遊ぶ場です。雄渾な古代の館の空間と、そこに響きわたる音が 壮大なイメージの旅を見せてくれるかも知れません。 石を打って音を出せば、演奏家の仲間入りをすることもできるでしょう。
うちわは紙皿を合わせてつくりますが、葉っぱの絵で、紙皿がどれほど姿を変えて あなただけの縄文うちわ、つまり「縄文ファン」になるかは、あなたの傍らで楽しんでいる縄文の精霊の助けにもよるかな? お月見宴が終わる頃には 満月の下であなたも縄文ファンになって帰ってくださいね。
安芸 早穂子 HomepageGallery 精霊の縄文トリップ