自宅の庭に、趣味で竪穴式住居を建ててしまいました・・・・・・山田スイッチと申します。
「あそこのお母さん、縄文人だから」で、近所では有名な私ですが。週に二度の新聞連載でコラムを書きながら、家の掃除と洗濯などの家事をやりながら、三歳の子供を保育園に通わせながら、ついついうっかり。今夏は、竪穴式住居を建ててしまいました・・・!
建材は杉の柱六本と造園屋さんから頂いた長さ3メートルの柱を50本と、短めの棒30本あまりです。茅葺きではなく、杉の皮のついた板葺きで、杉の皮付きの板は軽トラ1杯分を使いました。
建設には約7人がかりで4日間、建設準備に1週間、材料搬入に1日、材料調達に2ヶ月をかけて出来上がった我が家の竪穴式住居ですが。やはり、一番大変だったのは材料の調達でした。
「杉の皮余っている人、いませんか~?」と、地道に声をかけながら日々を暮らし、「あそこの山に杉が生えてるから、持ち主に聞いてみようぜ」みたいなことから山の持ち主に交渉しました。山を持っている人は太っ腹な人が多いですね。「切り倒したのが何本か転がってるから、勝手に持っていっていいよ」ですって。杉の木6っぽん、ゲットです。
我が家の竪穴式住居の建設メンバーは、元から「竪穴式住居を作りたくて集まった」メンバーなので。職業は農家だったり主婦だったり、不動産業だったりと色々なのですが。こと、軽トラの話になると、「今までどれだけ長いものを軽トラに積んだことがあるか」という話で持ちきりになります。
「俺、長さが5メートルくらいある竹、積んだことがあるよ!ちゃんと赤い布を竹の先に結びつけて運んだんだけど、竹だから走ってる最中に、前後がしなるんだよね!」
って。そんな軽トラの後ろには、絶対について走りたくないですね。
そして始まった我が家の竪穴式住居作りですが。まずは深さ1メートルの穴を直径3メートルの円になるように掘っていきます。これだけ穴を掘ると、だんだん縄文人のような気持ちになっていきますね。掘りだした土は周りに盛って、住居への雨水の浸入を防ぎます。そして出来上がった穴を水平に保ちながら、周りからの土の侵入を防ぐために、杭を打っていきました。杭そのものもナタで木を削っての手作業です。
縄文時代にナタはなかったと思いますが、我々は縄文心を持った現代人なので。その辺は勘弁してもらおうという魂胆です。
杉の丸太の皮を手で剥ぎ、穴を掘って柱を埋めます。そして削って組みやすくした杉を横に渡して、かすがいで留めて。縄を巻き付けて柱を組んでいきます。更に出来上がった4本の柱に造園屋さんからいただいた木柱を立てかけていき、釘で打ったり紐で結んだりしながら、骨組みを組んでいきます。
入り口にもう2本の柱を建てて、ちょっとオシャレな東南向きの出入り口を作りました。
あとはひたすら、70センチにカットした杉の皮付きの板で葺いていきます。その板の数、400枚……。これさえ葺ければ、夢の竪穴式住居は完成したも同然だという気持ちで……2日かけて板を葺き続けました。
そして、完成した住居の中央に炉を作ると、我が家の竪穴式住居が完成したのでした!
竪穴式住居のある暮らし……実際に手に入れてみると、なかなかに快適です。中で火を焚いたり、お弁当を食べたり、お酒を飲んだりと。
もしも、今住んでいる家がなんらかの理由で売りに出ることがあったら、そこには「古民家あり」と同じノリで、「竪穴式住居あり」と不動産屋さんの「売ります」のコーナーに貼られることになるのでしょうか。
これから寒い冬がやって来ますが、冬の竪穴式住居は果たして、そのままカマクラ状になるのかどうか。今から楽しみなのです。