ホーム > 連載企画 > 第42回 精霊のまばたき――シャコちゃん動画撮影秘話――

このページの本文

連載企画

縄文探検につれてって!-安芸 早穂子-

第42回 精霊のまばたき――シャコちゃん動画撮影秘話―― 2011年12月14日

泣く子もだまる青森のシンボル(?)遮光器土偶のシャコちゃん。
流行の“ゆるキャラ”達とは一線を画する ちょっとディープな“かた(硬!)キャラ”振りには シャコちゃんというニックネームにいささか無理を感じるほどの“硬派”な迫力があります。
ネットで検索すれば必ず現れる 木造駅駅舎に貼りついた大魔神シャコちゃんに到っては その破壊的なサイズと外見で SF的衝撃を禁じえないお姿となっています。

さて、このサイトを管理して下さっている松尾さんのご好意で、そのシャコちゃんを「自由にしていいのよ」と自分なりの偶像に仕立てる「20人の遮光器土偶展」に参加させて頂きました。

どのような作品にするかと考え始めると、正体があって、ないような、まばたきする間にもう消え去っているような、精霊の姿を垣間見るようなものができないかな~・・という思いがでてきました。

はじめのうちは 木造町の駅舎が葉っぱになったようなこの不思議なシャコちゃんを面白がっていたのですが、(写真参照)
せっかく粘土で着色もした顔のパーツができたのだから これでコマ撮りの動画を作ってみようと思い立ちました。
コマ撮りというのは 対象物を少しづつ動かしながら連続的に静止画像で撮影する方法です。

ふく笑いのようなシャコちゃんのパーツとカメラを家から持ち出して、向かいの公園で撮影することにしました。ちょうど草刈をしていた公園整備のおじさん達に取り囲まれながらも、きれいに掃除された場所を見つけて、そこで早速一枚撮ってみました。
一体何をしてるねん?的な空気が漂う草刈作業の合間をついて、ふく笑いのシャコちゃんパーツを 「ちびっと」づつ動かします。

いつものように、何のプランも立てていなかったので 三脚に置いたカメラのシャッターをどんどん切りながら、思いつくままシャコちゃんの目や耳を動かしていると、カメラの視界を何かが横切っていきます。

ついさっき草が刈られてホッコリ隠れていた草むらがなくなって驚いたのか、地面の中に居たはずの一匹の幼虫が小走りに画面を横切っているのでした。
面倒くさいのでそのまま撮影しましたが、後でつなげて見てみると 小さな虫なりにけっこう焦って“うんしょうんしょ“と短い足をフル回転させながら動く姿がなかなかけなげです。
草が刈られて丸裸のようになった野原の地面を、一直線に走って小さな穴にスポン!と入るところもちゃんと映っています。
う~ん・・。あれだけ広い公園で撮ったのに、思いがけずもこのような小さな出来事の顛末がきっちりと記録できてしまったのも、シャコちゃんの精霊パワーのおかげ様でありましょうか。ありがたや。(拝礼)

というわけで、「ほんのひと時、精霊が現れるところ」を作りたかった私のもくろみは、シャコちゃんによって呼び出された虫さんの特別出演により、予想以上の出来栄えにして頂いたのでした!パチパチパチ!(拍手)

最後になりましたが、これらの気ままな作品を丁寧にきれいにサイトに載せてくださいました草刈さん(名前がまたまたシンクロしています!)とJOMON SPIRITのスタッフの皆様にも心から感謝を致します!

安芸 早穂子 HomepageGallery 精霊の縄文トリップ

プロフィール

安芸 早穂子

大阪府在住 画家、イラストレーター

歴史上(特に縄文時代)の人々の暮らしぶりや祭り、風景などを研究者のイメージにそって絵にする仕事を手がける。また遺跡や博物館で、親子で楽しく体験してもらうためのワークショップや展覧会を開催。こども工作絵画クラブ主宰。
縄文まほろば博展示画、浅間縄文ミュージアム壁画、大阪府立弥生博物館展示画等。

週刊朝日百科日本の歴史「縄文人の家族生活」他、同世界の歴史シリーズ、歴博/毎日新聞社「銅鐸の美」、三省堂考古学事典など。自費出版に「森のスーレイ」、「海の星座」
京都市立芸術大学日本画科卒業
ホームページ 精霊の縄文トリップ www.tkazu.com/saho/

バックナンバー

本文ここまで