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連載企画

縄文のワケ -菊池 正浩-

第6回 縄文の「風水」のワケ 2009年7月29日

このイラストをご覧ください。縄文マンガ家のさかいひろこさんの作品です。

ここは、どこだと思いますか?

実は、九州南部の縄文遺跡・上野原です。

この遺跡が発見されたとき、わたしは、さっそく現地を訪ねました。遺跡の丘の上に立ったときの印象が、このイラストそっくりでした。

そして、なつかしくどこかで見たような気がしました。

目の前に広がる錦江湾。

そのかなたに煙を上げる桜島。

目の前の光景を南北さかさまにすると、三内丸山ではありませんか。

錦江湾と陸奥湾。桜島と恐山(あるいは八甲田山)。それをみはらす小高い丘。

このとき、縄文の「風水」というものが、そこにあるのではないかという考えが浮かんできました。

内ふところの深い湾。それは、最適の漁場です。また、その向こうの外海につながる交易の格好の基地でもあります。

そして、その小高い丘から、火山を望むのは、火山への畏敬の現れでしょう。

これらの海(交易)、火山(祈り)、丘(眺望)は、三内丸山と上野原にとって、共通の

条件だったのではないでしょうか。

ここから先は、まったくの仮説ですが、縄文遺跡の置かれている立地条件をより詳しく調べていくと、縄文人がその場所に定住を決めた動機・つまり縄文の「風水」が明らかになるのではないかと思います。

次回は、今年で11回を迎える三内丸山遺跡での「お月見のワケ」を考えて見ます。

プロフィール

菊池 正浩

番組プロデューサー。

NPO法人・三内丸山縄文発信の会会員。 1946年生まれ。青森県弘前市出身。早稲田大学卒業。NHK入局後、美術・歴史番組を担当。 1994年NHK青森放送局で大集落発見直後の三内丸山遺跡を紹介。

その後、東京で NHKスペシャル「街道をゆく」「四大文明」 「日本人はるかな旅」「文明の道」などを担当。

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