このイラストをご覧ください。縄文マンガ家のさかいひろこさんの作品です。
ここは、どこだと思いますか?
実は、九州南部の縄文遺跡・上野原です。
この遺跡が発見されたとき、わたしは、さっそく現地を訪ねました。遺跡の丘の上に立ったときの印象が、このイラストそっくりでした。
そして、なつかしくどこかで見たような気がしました。
目の前に広がる錦江湾。
そのかなたに煙を上げる桜島。
目の前の光景を南北さかさまにすると、三内丸山ではありませんか。
錦江湾と陸奥湾。桜島と恐山(あるいは八甲田山)。それをみはらす小高い丘。
このとき、縄文の「風水」というものが、そこにあるのではないかという考えが浮かんできました。
内ふところの深い湾。それは、最適の漁場です。また、その向こうの外海につながる交易の格好の基地でもあります。
そして、その小高い丘から、火山を望むのは、火山への畏敬の現れでしょう。
これらの海(交易)、火山(祈り)、丘(眺望)は、三内丸山と上野原にとって、共通の
条件だったのではないでしょうか。
ここから先は、まったくの仮説ですが、縄文遺跡の置かれている立地条件をより詳しく調べていくと、縄文人がその場所に定住を決めた動機・つまり縄文の「風水」が明らかになるのではないかと思います。
次回は、今年で11回を迎える三内丸山遺跡での「お月見のワケ」を考えて見ます。