「こびとづかん」のDVDをかけると、
子供達が夢中になって見ています。
「カクレモモジリ」や「イエコビト」、「ヒメイエコビト」、
「リトルハナガシラ」など。
子供達がまるで学名を覚えるかのように、
これらのこびと達の特徴や体長(大体10センチから20センチくらい)、
どんなものを捕まえて食べるかについて学習してしまうのは、
こびとのいる世界の方が、いない世界よりも
面白いからだと思います。
ちなみに、私の好きなこびとはオオヒレカワコビトです。
きれいな川や湖に棲み、泳ぎの名人。
陸を歩くこともあるが、体が乾くと死んでしまうという
そんなか弱さも、どことなく魅力的なのです。
ちょっと不気味で、なんだか可愛い。
女性に人気のカクレモモジリは、桃園などに生息し、
熟れた桃の実に寄生します。カクレモモジリが
「青い果実には興味がない」という
のも、なんとなく心惹かれる特徴です。
「こびとづかん」の一大ブームを思うと
土偶ブームまであと一歩という気がします。
子供達の手に取りやすい絵本や、DVDという形で土偶が紹介されて
しかもどことなく引っかかる性格であったら……
土偶に対する理解というものは、一気に深まるような気がしますね。
つがる市の亀ヶ岡遺跡出土の遮光器土偶が
「シャコちゃん」と呼ばれ人気を博したように、
八戸市の風張Ⅰ遺跡出土の合掌土偶も
「ガショちゃん」と呼ばれたら、
なんとなく親しみが湧いてきそうですね。
ガショちゃんの性格は控えめでおとなしく、
「座産の最中なので今は放っておいて欲しい……」とか。
そういった特徴もあると思います。
土偶には、こびとづかんも顔負けの
のっぴきならない特徴があるのです。
長野県の富士見町曾利遺跡出土の釣手土器は、
表には清らかな女性の顔が施され、裏には邪悪さを感じさせる、
ヘビのような顔で、頭髪が立ち上がって見える土器です。
そう、まるでメドゥーサのようなこわもて顔に見えるこの土器、
名前は「メドゥちゃん」でいかがでしょうか?
そうすると性格の方も
「普段は優しいけど、怒らせるとこわいんだから!」
という、どことなく秋葉原で萌えキャラとして成り立つような
要素も出てくる気がします。
イメージを喚起する力がよほど強いのか、
実は、土偶は「古代少女隊ドグーンⅤ」という
実写版の美少女戦隊ものにもなっていたりします。
一万年前の世界から目覚めた土偶の神様・ドグちゃんが
現代社会に隠れた妖怪を退治しながら
引きこもり少年の心を開いていくという
社会風刺も交えた奇想天外なストーリーで2009年に放送された
「古代少女ドグちゃん」。
その新シリーズとも言うべき「古代少女隊ドグーンⅤ」は、
土偶好きなら一度は見ておきたい作品です。
監督は映画「片腕マシンガール」の鬼才・井口昇さんです。
井口昇さんの映画「恋する幼虫」を見た時、
この方の描く「人の本当の姿」を求める姿勢に
涙が止まらなくなったことがあります。
古代少女隊ドグーンも、
きっと美少女戦隊ものでは終わらない何かを
持っているに違いありません。