ホーム > 連載企画 > 第10回 雪の褥(しとね)におおわれる時

このページの本文

連載企画

縄文の風を感じてみませんか?-土岐 司-

第10回 雪の褥(しとね)におおわれる時 2009年1月26日

師走・・・十二月になれば機動力で山に入ることができなくなり、文字通り山は眠りに入る。けれど大雪でもない限りは穏やかな山行を楽しむことができます。わずかに積もった雪の上に残された動物たちの交錯した足跡が見られ、人間様などには解らない動物たちの躍動している様がわかります。

この季節こそ初心者の「アニマル・トレッキング」が楽しい。そんなに奥深く分け入るまでもなく、ウサギやリス、テンやタヌキ、ニホンカモシカ等の足跡を辿るのも楽しい時間になります。橇(そり:今はスノーボードと言うほうがオシャレかな?)に最小限の機材を積む。機材などと大げさに書いたが中身はバーナー、サイフォン、1Lのボトル、小さな鍋、携帯の椅子、シートなどです。勿論、インスタントラーメン(塩味が良い)とカレー用のシーフードも持参する。

ポケットには、直ぐに食べられる「ウインターキャラメル」(但し、私の好みだから・・・)が入ることになっている。以前はサラミソーセージだったのですが、なんとかシンドロームを考えてキャラメルにしたが・・・ま、同じかな。

そんな橇(そり)に長いロープをつけて肩にかけて曳いて行くのです。肩の荷重がゼロなので楽だからです。適当な所で始めるのが「男のお料理時間」です。シーズン中は自然を堪能する時間は持てないが、こんな瞬間こそが自然派人間だけが満喫度150%を堪能できるのです。これはビジネスにしたら高額商品だと思うが、金で片をつけるようなレベルの代物ではない。

何と言うか、侵されたくない「自分だけの世界?」、孤高の時間と空間なのだと自負しているが、どうも自然志向人間たちが持っているエゴモドキに近い何かがあるのが気がかりです。それでも!単なる塩ラーメンにシーフードは相性がよくて、ラー油などの一滴は極上の味をかもし出す。湯気に眼鏡を曇らせた食後のコーヒーは持参のサイフォンで時間をかけて抽出した分だけ上等な味をみせてくれる。

タマンナイ時間です。

プロフィール

土岐 司

1942年青森県生まれ

高校理科教員を38年勤め、2004年有限会社ヒーリングエコツアーPROガイド エコ・遊を設立。 教員在職中、白神山地を題材とした授業の中で、白神の自然を後世に残すという想いに目覚める。

会社設立より現在に至るまでのシーズン中(5月中旬~11月中旬)に白神を留守にしたのは片手で数えるほど。

バックナンバー

本文ここまで