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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第16回 土器・ドキドキ 2009年8月14日

とうとう、2009年の目標であった「縄文土器をこねる」が、実現してしまいました……!

土器作り、死ぬほど楽しかったです! できあがった土器は自然乾燥させて、今年の9月26日に、三内丸山遺跡で野焼きにします。(雨天時は10月3日)

お暇のある方はぜひ、土器の野焼き景色を見に行ってください。

史跡で野焼きなんて、(しかも土器を焼くなんて)めったに見られるものじゃありませんので。お見逃しなく!

三内丸山遺跡の縄文教室で開かれた土器作り体験が、ものすごい内容だったのでお知らせしますね。

まず、使用する土が、本当に土! 粘土質の土に砂を混ぜて、菊練りという手法で練り上げられたものが用意されていて。受講者(主に小学生のよい子の皆さん)は、本場の縄文土器をその場で作ることができるという、とんでもない待遇の良さです。

だって、土作りから始めたら、本当に縄文人が土器を作るのに要した時間と同じ時間、かかりますから。まず「良い土を探しにいくところ」から始めたら、何年かかるかわかったもんじゃないですよ!

縄文時代には、パソコンもゲームもなかっただろうけど。こんなに楽しいことがあったら、コンピューターなんていらないなあ……と。夢中になって土をこねながら、考えていたのでした。「やっぱり、老後は土器を作ろう」とか。色々思いを馳せてしまいましたね。

そういえば昨年の夏に庭に竪穴式住居を建てていた時も、すごく楽しかったのです。

縄文人はきっと、夢中になって家(竪穴式住居)を建てたり、墓(ストーンサークル)を建てたり、土器を作ったり子供を産んだりしている間に、死んでいったんじゃないかと思うのですよ。縄文人の平均寿命は30歳前後だったと聞きますから。

縄文の人たちは男も女も、自分の手から何かが生まれる喜びに、直に触れていたのだと思うのです。土をこねる感触、竪穴式住居の土の床に座って、空を見上げる感触。土の匂い、草の匂い、風の匂い。鳥の声。樹々の揺れ……。

石を磨いて宝飾品を作り、身を飾り。土器をこねる。土をこねている間にそれは器としての役割を超えて、土器という無限の創造作品が彼らの手から生まれ続けたのです。

イマジネーションによって、土と世界の間に立ち、炎の力を借りて、人がこねてカタチとなった、土器。参加していた小学生の子供たちの、無限のイマジネーションは。見ていて、まるで想像力が爆発しているみたいでした。

一言でいうと、「何だ、これは!?」っていう感じ。

予想もできないデザインを、子供たちは黙々と生み出していくのです。

ああ……。この土器が焼き上がる瞬間を、見に行かねば。

どうしたことか。今年のあそこのおかあさんは願い事が叶ってばかりいるのです。そして、「あそこのおかあさん縄文人だから」のもう一つの野望は……。

「わが家の竪穴式住居に誰かを住ませて、住み心地を検証する」こと。

これはもう、野望としかいいようがありません。本当に住めるのか? うちの竪穴式住居!

この願いも、早々に叶いそうな予感がする、あそこのおかあさんでした。

プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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