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連載企画

あそこのおかあさん縄文人だから -山田スイッチ-

第74回 「海と火山と縄文人」展 2014年11月19日
是川縄文館のおにぎりとせんべい汁

是川縄文館のおにぎりとせんべい汁

八戸市の是川縄文館に行って、「海と火山と縄文人」展を観てきました!

最近、ドグ子は車にカーナビを付けたの!
週末はハイウェイ飛ばして縄文遺跡に行くのが趣味なの。
東北自動車道と八戸道を使えば、
ドグ子の家から八戸市の是川縄文館までは、2時間半で着いちゃうんDAYO~!

さて、話題の「海と火山と縄文人」展!
ドグ子が行った日は東京大学大学院新領域創成科学研究科の
辻誠一郎先生がギャラリートークでたくさんお話してくれた日でした!

最近よく7400年前の九州の鬼界カルデラの巨大噴火のことを
聞くようになったのだけど、
ネットでよく聞く言説は、
「巨大噴火で九州の縄文文化が壊滅状態に!」
っていうすごい話なんだけど、そこからイメージされるものって、
やっぱり九州全体が焦土と化して、誰も住む者はいなくなった……
っていうイメージじゃないですか。

現在、十和田湖のある十和田火山の噴火も、
ネットの言説だと、
「5900年前の十和田火山の噴火で青森県全土が焦土と化した!」
みたいに聞くけども、ちゃんと火山の噴火の後も縄文人は
生き残っているわけで。

一体、何をもって縄文文化が「壊滅状態に」というかを
知りたくて辻先生のお話をドグ子は聞きに行ったわけです~☆

5900年前の十和田火山の噴火では、十和田湖からなんと、
八戸市は元より、青森市のアスパム、岩手県の陸前高田、
山形県の月山まで噴火の軽石が飛んでいき、堆積したそうです。
これが南部軽石と呼ばれているものなんですって!

辻誠一郎先生のお話でびっくりしたことは、
この5900年前の十和田火山の噴火によって、
突然、青森県に円筒土器文化が現れ、隆盛を極めたとのこと。
5900年前の十和田火山の噴出物である軽石の、層の「上に」
円筒土器が出るのだそうです。

それは、辻先生のお話によると火山灰の降下によって
海の生物がエラに灰を詰まらせて死滅するなどして、
今まで豊富な海の幸に依存してきた縄文人が
山の幸に依存せざるを得なくなったことと、

縄文人の農業である栗林の出現は、
食料を貯蔵するのに適した円筒土器文化の出現時期に被るのだそうです。
つまり、5900年前のその時期に十和田火山が噴火して、
円筒土器文化が現れ、しかも三内丸山遺跡では栗林が作られたということに!

だとすると、「火山の噴火によって縄文文化が壊滅状態に」……というのは、
新しい縄文文化が誕生したこと、つまり、
それまでの縄文土器が姿を変えたことなのかもしれないDESUNE☆

降下した軽石と火山灰のおかげで遠浅の干潟ができて、
得をした地域がなんと、県内最大の貝塚である長七谷地貝塚なんだそうです!

本当に見応えのある展示で、
当時降ってきた軽石にも触れる「海と火山と縄文人」展は
是川縄文館で2014年11月24日まで開催されます☆
みんな、ハイウェイ飛ばして遊びに行こうNE☆

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プロフィール

山田スイッチ

1976年7月31日生まれ。

しし座のB型。青森県在住コラムニスト。 さまざまな職を経て、コラムニストに。 著書に「しあわせスイッチ」「ブラジルスイッチ」(ぴあ出版刊)、「しあわせ道場」(光文社刊)がある。

趣味は「床を雑巾で拭いて汚れを人に見せて、誉めてもらうこと」。

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