あまり芳しくないニュースが多かった今年、JAXAの「はやぶさ」のはなんとも嬉しい出来事のひとつ。弘前出身の川口淳一郎教授の「夢の上をいくような信じられない気持ち」という名言と笑顔は、個人的にもっとも心ふるえた場面である。
その「はやぶさ」が地球に戻ってきた直後、わたくしはスペースシャトルの発射台があるフロリダ、管制室があるヒューストンと、アメリカでNASAをハシゴしていた。NASAの施設は実は、一般の観光客にも一部が開放されている。そこで宇宙飛行士の訓練を体験するべし、とのミッションが下ったのである。
幼い頃、青森市民センターのプラネタリウムに毎月通い、宇宙飛行士になるのが夢だった身としては、ふたつ返事での了解、ラジャー! とはいえ、フロリダでの訓練体験ではまず、シャトル着陸の操縦シミュレーションで失敗を重ね、数千億ドルもの損失を計上。
さらにはG体験ができるマシンでは、数秒後に首がもげそうな恐怖にかられて「Stooooooooop!」と絶叫。夢はそれ以上のなにものでもないままに終わったのだが。ヒューストンでは、国際宇宙ステーションとコンタクトを取る管制室を見学。目の前の大きなスクリーンには、ステーションのカメラが捉えた地球が映し出されていた。
テレビや写真で見慣れた姿ながら、リアルタイムな状況、すなわち今、自分が目の前の地球の上に立つ不思議に感無量。この星すべてが、皆で守るべき世界遺産なのだよなあ。そう思いながら、美しい青が目にしみた。涙ぐみつつ、「ドラえもん」愛好家として頭に浮かんだのは、「どこでもドア」。
もし、5000年光年離れた遙か遠い星に瞬間移動して、そこから超高性能特大望遠鏡の焦点を青森に合わせたら、5000年前の三内丸山遺跡での暮らしぶりが見えるはずではないか。生き生きとした人々の笑顔を、こっそりのぞけるのではないか。
ああ、やっぱり宇宙に行きたい。おおっ、そういえばもうひとつ、忘れちゃならない「はやぶさ」が……新幹線開通! おめでとうございます。これぞ、青森の長年の夢。腰痛持ちののんだくれとしては、グランクラスも気になるところ。
宇宙云々以前に、こちらに挑戦しなくては……。なにはともあれ、青森にとって、縄文の遺跡群にとって、2011年がより良き年になりますよう、心から。