今、上野の東京国立博物館で、「土偶展」が開かれています。
国宝の土偶3体をはじめ、日本列島の代表的な土偶が勢ぞろいしています。
めったにないチャンスですから、ぜひ足を運んでみてください。
まず、気がつくのは、土偶と一言でいっても、実にさまざまです。これは、地域差だったり、作り手の技術だったり、いろんなことが影響しているのでしょう。
これまで、土偶について、言われてきたことを会場で確認することが出来ます。
まず、去年のお月見縄文祭のシンポジウムでのケルト研究家・鶴岡真弓先生のことばを思い出します。人体の関節の部分にある渦巻き。それは、エネルギーの源として、ケルト文様では、特徴的なものだといいます。その目線で見ると、確かにありました。長野県中ツ原遺跡出土の通称「仮面土偶」。この土偶の渦巻きは、鶴岡先生のお話にぴったりです。
さらに、土偶の口について。
三内丸山遺跡から出土したたくさんの小さな土偶たち。
よく見ると、みんなぽっかり口をあけています。小山修三先生は、「縄文合唱団」といいました。
ぽっかりあけた土偶の口について、鶴岡先生は、ユニークな意見を言っておられます。
それは、生まれたばかりの赤ん坊が、仮死状態から、おぎゃあと、泣く直前の表情だというのです。そうした目で見ると、確かに、多くの土偶の表情は、生と死のはざまのような不思議な表情をしています。
いずれにしても、各地域・各時代の代表選手である土偶が一堂に集まったこの展覧会は、
土偶について、いろいろ考えるまたとない機会です。
関連エッセイ
縄文遊々学 岡田 康博
第18回 今年も縄文の月は丸かった!
第21回 イギリスJOMON紀行(1)「土偶と再会する」
世界自然遺産白神山地は、心のふるさと
「縄文の風を感じてみませんか・・・」 土岐 司
第25回 名月に 酔う
世界の“世界遺産”から。 山内 史子
第7回 遺跡と満月。人智を越えた舞台装置のもとで。