いま上野の東京国立博物館で「土偶展」が開催されています。
あんまり面白いので、2回も見に行きました。
前回ご紹介した鶴岡真弓先生の「渦巻き」と「口」のほかに、気のつくところがありました。
なんといっても、土偶のおなかの線が目につきます。
ハート形土偶(群馬県郷原遺跡出土)でも、立像土偶(山形県西ノ前遺跡出土)でも、おなかに
タテの線があります。しかも、くぼみになっています。
国宝に指定されている北海道著保内野遺跡出土の中空土偶では、隆起した線になっています。
一見すると、首飾りの鎖のようにも見えますが、おへそまでつながっているので、鎖とは違うようです。
これらは、正中線あるいは妊娠線といわれ、出産直後に母体に現れる線を指しているようです。
にわか勉強ですが、正中線と妊娠線は、厳密には違うといいます。
色素の変化のひとつが正中線。妊娠によるおなかの膨らみで皮膚にひびが入るのが、妊娠線だといいます。
おなかのくぼみのあるタテの線は、やはり、妊娠線をあらわしているように見えます。
いずれにしても、この土偶のおなかの線は、「土偶展」でよく見ると、おっぱい以上に、強調されている例が多いようです。
土偶が女性を現し、しかも、とりわけ妊娠出産を控えた女性に焦点をあてていることが分かります。
そこには、さしせまった出産の無事を祈る気持ちから始まって、命の誕生・豊穣への祈りなどさまざまな意味がこめられていたのではないでしょうか。
それにしても、土偶については、興味が尽きません。